商工省、外国貿易政策の期限をさらに2023年3月末まで延長

(インド)

ニューデリー発

2022年10月04日

インド商工省は9月26日、同月末まで延長していた現行の外国貿易政策を2023年3月末までさらに延長すると発表した。現行の外国貿易政策はもともと2020年3月末に期限を迎える予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを理由に、これまで複数回期限を延ばしており(2022年4月8日記事参照)、今回で5度目の延長となった。

商工省は今回の延長について、同省傘下の輸出促進協議会や主要な輸出企業からの要請に応じた結果と説明している。同省によると、輸出企業を中心とする産業界には、今日の流動的な世界経済や地政学的状況に鑑み、今後の情勢を見極めた上で新しい政策を打ち出すことが望ましいとの見方があるという。

「ビジネス・スタンダード」紙(9月26日)は、今回の延長はやむを得ないとするインド輸出機関連合(FIEO)のアジャイ・サハイ事務局長の見解を報じている。同氏は、多くの国で経済減退や現地通貨の弱体化がみられる中、新しい環境下でインドがどういった戦略で進むべきか慎重に検討しなければならないとの考えを示した。

他方、「エコノミック・タイムズ」紙(9月27日)」は、サービス輸出協議会(SEPC)のスニル・タラティ議長が「われわれは延長を要請していない。新政策(の発表)は早ければ早い方が良いと考えていた」との発言を紹介し、今回の延長は必ずしも全産業界の総意ではないと指摘している。サービス分野では、2015年に開始された輸出インセンティブ「サービス輸出スキーム(SEIS)」が2022年初めに終了しており、新しい外国貿易政策の下で類似スキームの早期開始が期待されていた。

「ミント」紙(9月26日)は、今回の延長が発表される前の9月13日に、商工省が外部有識者も交えた新しい貿易委員会を開催し、新しい外国貿易政策の方向性を含めた今後の輸出戦略を協議していたことを紹介。インドは製造業振興策などを通じて貿易赤字の解消を図っているものの、2022年4月以降、輸入が輸出の伸びを上回る勢いで拡大し、貿易赤字幅が前年に比べて倍増していると指摘した(2022年9月30日記事参照)。

(広木拓)

(インド)

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