ラオス発スタートアップのピッチイベントが開催

(ラオス)

ビエンチャン発

2022年10月06日

ラオス日本センター(LJILaos-Japan Human Resource Development Institute)とジェトロ、ラオス商工省中小企業促進局(DOSMEP)は928日、首都ビエンチャンで「ラオス発・課題解決型スタートアップピッチイベント」を開催した。オンラインでの視聴も含め、日本とラオスの企業代表者を中心に150人以上が参加した。

LJIは、産業人材育成やスタートアップ・SMEsエコシステム強化につながる、ラオス発のスタートアップ支援プログラム「LJI SUSU(1)を2021年から実施している。今回、本プログラムに応募したラオス企業108社から最終的に4社が選ばれ、ミニ講座、メンタリングによる精度の高いビジネスプラン作成、そして実証実験を経て、事業提携や資金調達を目指し、プレゼンテーションを行った。

このうち、同ピッチイベントでソーシャルインパクト賞(注2)を受賞したサイマハサップ(Xaymahasub)は、農業共同経営を前提としたプラットフォーム「CROP Share」を提供する。ドローンなどを活用した栽培管理から、収穫、加工、販売まで一貫してサポートすることで、農家の利益最大化を目指す。また、注目すべきは同社独自の会計システムで、例えば生産コストに鑑みて希望小売価格を自動的に設定する。今後は、卸売りや物流関連といったパートナー企業の発掘が鍵となってくる。

近年、ラオスでは産業の多角化が進み、製造業やサービス業に従事する労働者の割合が増えてきているが、依然として全世帯数の約50%が農業に従事する。ウクライナ情勢に伴う肥料およびエネルギー価格の高騰により、ラオスの農家は大きな影響を受けており、生産効率を上げてコストを削減するために、アグリテック分野におけるスタートアップの台頭が期待される。

写真 サイマハサップのキレティ・パンヤピティソーポン氏によるプレゼンの様子(ジェトロ撮影)

サイマハサップのキレティ・パンヤピティソーポン氏によるプレゼンの様子(ジェトロ撮影)

写真 会場に集まった日ラビジネス関係者(ジェトロ撮影)

会場に集まった日ラビジネス関係者(ジェトロ撮影)

前述のとおり、本プログラムには多数のラオス企業から応募があり、日本企業との協業を模索するスタートアップがラオスに多く存在することを示している。なお、ジェトロとLJI2022525日に日本とラオスのビジネス交流促進にかかる協力覚書(MOC)を締結している(2022年6月1日記事参照)。

(注1LJI SUSUは、スタートアップ(Start-up) およびスケールアップ(Scale-up)を意味し、SDGsの実現に向けて取り組む起業家や企業を「応援する」(ラオス語で「スースー」という)取り組み。

(注2)ピッチイベントで発表した4社について順位付けはないものの、うち2社に対して、特別賞としてベストパフォーマンス賞とソーシャルインパクト賞がそれぞれ付与された。

(山田浩平)

(ラオス)

ビジネス短信 86e1adca59f8be14