フィッチがペルーの格付けを引き下げ、政治混乱の長期化を懸念

(ペルー)

リマ発

2022年10月26日

格付け会社のフィッチ・レーティングスは1020日、ペルーの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)の見通しを「BBB(安定的)」から「BBB(ネガティブ)」に引き下げると同社ホームページで発表した。修正の理由としてフィッチは、大統領とその関係者を含む汚職捜査などを始め(2022年10月19日記事参照)、数々の政治面での混乱が投資と経済成長にマイナス影響を及ぼす可能性を挙げている。フィッチでは、ペルーの適度な公的債務水準と中央準備銀行による堅実なマクロ経済政策などにより投資適格レベルの「BBB」は維持したものの、政府ガバナンスと政府歳入のリスクが見通しに影響を及ぼしたとしている。

ペルーに対する格付け会社の評価は、20219月の米国ムーディーズによる「A3」から「Baa1」への引き下げを皮切りに、同年10月にフィッチ、20223月にスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル(S&P)がそれぞれ「BBB+」から「BBB」に格下げをしており、軒並み下がっている状況にある。今回の修正について、ルイス・ミゲル・カスティージャ元経済財政相は「ヘスティオン」紙の取材に対して、「レッドカードを出す事前段階としてイエローカードを出されたような状況にある」と表現し、今後の展開への懸念を示した。

一方で、経済財政省(MEF)は、フィッチによる下方修正を受け止めながらも、引き続き中南米域内で2番目の上位評価にあることや、202218月のGDP成長率が3.0%に達し年間でも3.3%の成長が見込まれていることを安心素材として挙げている。また、9月に発表した経済再活性化策「インプルソ・ペルー(ペルー推進)」計画(2022年9月12日記事参照)により、さらなる官民投資が推進される、と強気の見通しを同省プレスリリースで記している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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