科学技術情報通信部、板橋データセンター火災の対応策を発表

(韓国)

ソウル発

2022年10月27日

韓国科学技術情報通信部は10月21日、SK C&C板橋(パンギョ)データセンターで発生した火災によるカカオ(インターネット大手)とネイバー(IT大手)の通信障害の復旧状況や、今後の対応を以下のとおり発表した(2022年10月18日記事参照)。

1.通信障害の復旧状況

SK C&C板橋データセンターの電力設備の緊急復旧が完了し、カカオとネイバーが提供するサービスの大部分が事故発生以前の水準まで回復した。一方、無停電電源(UPS)の完全な復旧までには少なくとも3週間程度を要し、カカオとネイバーは当分の間、サービスに一時的な障害が発生する可能性がある。

2.今後の対応

1つのデータセンター内で発生した火災事故がカカオやネイバーといった全体のサービス中断につながり、復旧が遅れたことから、サーバーの二重化を検討する必要があるとして、以下の対応計画を発表した。

(1)データセンターなどの火災事故予防のため、消防庁などの関係機関とともに、全国のデータセンターや基幹ネットワークの消防・電気設備などの点検を行う。

(2)専門家で構成する事故調査班を通して、付加通信サービスとデータセンターで発生した事故の原因を分析し、付加通信サービスの安定性を確保するために、実効性のある対策とデータセンターの保護措置の強化策などを設ける。

(3)今まで管理が行き届いていなかったデータセンターとデジタルサービスを政府の災難対策体系に加え、保護計画の策定から定期点検、合同訓練に至るまで、一連の災難に対応できるようにする。

(4)中長期的には、デジタルサービスの安全性向上の技術を戦略的に開発する。火災の危険性が低い全固体電池や、通信災害時の衛星インターネットの技術開発も進める。

(5)「デジタル危機管理本部」(仮称)を常時運営し、デジタルインフラとサービスの災難予防、訓練、対応、復旧など、全ての段階の点検・管理体制を整備する。

「朝鮮ビジネス」(10月22日)は、データセンターで大量に使用されているリチウムイオン電池が大規模火災につながる可能性を指摘した。また、韓国で建設中または建設計画の193カ所のデータセンターのうち182カ所がソウル、仁川、京畿道の首都圏に立地している点から、「災害時のリスクや電力供給一極集中を避ける観点から、地方への分散が望ましい」と指摘している。

(当間正明)

(韓国)

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