カナダ政府、中国・台湾のCPTPP加入申請への支持は見送り

(カナダ、中国、台湾、米国、オーストラリア、英国、メキシコ)

トロント発

2021年09月28日

カナダ政府は9月23日、中国と台湾が相次いで、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)へ加入申請した(2021年9月17日2021年9月27日記事参照)ことに対し、「新規加入の決定は、あくまで加盟国による協議次第だ」として、両国・地域への支持の発表は見送った(「グローブ・アンド・メール」紙9月23日)。

一方、カナダ国内の有識者からは、今回の中国の加入申請は、中国が米国と同盟国との関係を不安定にさせることを意図したものであって、実現可能性が低いとする意見が散見される。国際貿易の専門家で、スティーブン・ハーパー前政権で通商政策・国際問題アドバイザーを務めたメレディス・リリー氏は「現時点では、これは中国からの真剣な申し入れではない、というのが私の見解だ」として、「中国がこのような発表をしたのは、より広範な地政学的な出来事のためである可能性が高い」と述べている。カナダのシンクタンク、国際ガバナンス・イノベーションセンターの上級研究員パトリック・レブロンド氏も、リリー氏の意見に同調。中国の加入申請が、米国、英国、オーストラリアの安全保障協力の新たな枠組み「AUKUS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を締結した翌日だったことに関し、中国は米国が指摘するような脅威ではないことを示そうとしているのではないかと指摘した(「フィナンシャル・ポスト」紙9月20日)。国際貿易専門家でC.D.ハウ研究所の上級研究員であるローレンス・ハーマン氏も、今回の申請は中国の「悪ふざけ」で、「中国はドナルド・トランプ前米大統領の誤ったCPTPPからの撤退を戦略的に利用している」とコメントしている。

OECDとオンタリオ州政府での勤務経験のある貿易弁護士のマーク・ワーナー氏は「中国が加盟を勝ち取る可能性は低いが、台湾が中国に先んじるシナリオは考えにくい」と語っている。さらに、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)の規則により、カナダやメキシコが中国を含む非市場経済国と締結する貿易協定に対して、米国が事実上の拒否権を持っていることを指摘した(「グローブ・アンド・メール」紙9月23日)。

リリー氏はまた、「中国と台湾が同時に参加しようとしているため、政治的な問題は避けられず、一定期間、CPTPPへの追加加入がなされないという、まひ状態に陥る可能性がある」との見方を示している。

(江崎江里子)

(カナダ、中国、台湾、米国、オーストラリア、英国、メキシコ)

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