中国がASEANへの水上輸送強化へ新たな大運河プロジェクト「平陸運河」着工

(中国、ASEAN)

広州発

2022年10月05日

中国の広西チワン族自治区共産党委員会の劉寧書記は926日、中国の新たな大運河プロジェクト「平陸運河」の投資・運営や沿線地域の開発などを担当する平陸運河集団を訪問した(「広西日報」927日)。同運河は既に828日に着工しており、劉書記は今回の訪問に際して、同社従業員からプロジェクト管理や投資の進捗などの状況を確認した()

運河建設業者の中国交通建設が同社ウェブサイト上で828日に公表した情報によると、運河は同自治区の南寧市から欽州市を経て、北部湾(トンキン湾)に注ぐ。全長135キロ、総投資額は727億元(約14,540億円、1元=約20円)を予定。給水や灌漑、洪水防止、生態環境改善などの機能を組み合わせた航路を整備し、5,000トン級船舶の通航が可能。開通すれば、中国の南西部や西北部から最短で海に出られる航路となる。これまでの長江と珠江に加えた新たな水上輸送ルートを整備することで、長江と珠江を利用したルートの混雑緩和が期待されている。

同プロジェクトは、中国国家発展改革委員会が20198月に発表した「西部陸海新ルート全体規画」(注)実施の一環として建設されるもの。運河が長江、珠江、北部湾を縦方向に貫通することによって、中国とASEAN間の貨物輸送の増加をもたらし、中国とASEANのさらなる連携促進につながると期待されている。

(注)中国西部の省・自治区・直轄市から陸路・海路を利用してASEANなどとの貿易を直接行う新しいルートのこと。重慶市や四川省成都市を起点として、北部湾までの鉄道輸送と、北部湾を経てASEANなどにつながる海上輸送を組み合わせた輸送ルートを整備する計画(2019226日付地域・分析レポート、20211117日付地域・分析レポート参照)。

(梁梓園)

(中国、ASEAN)

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