ノルウェー~デンマーク~ポーランド間の北海ガスパイプラインが開通

(ポーランド、デンマーク、ノルウェー、EU)

ワルシャワ発

2022年10月06日

ポーランド北西部のゴレニウフで9月27日、ノルウェーからデンマーク経由でポーランドへ北海ガスを輸送する「バルティック・パイプ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の開通記念式典が行われた。このパイプラインにより、北海のノルウェー大陸棚にあるガス鉱床からポーランドへのガス輸送(年間最大100億立方メートル)が可能になる。加えて、同パイプラインはガス供給ルート複線化のため、ポーランドからデンマークへのガス輸送(年間30億立方メートル)も可能。

バルティック・パイプは、ポーランドのガス・システム(GAZ-SYSTEM)と、デンマークのエネルギネット(Energinet)の共同投資プロジェクトで、操業開始は10月1日。EUのエネルギー関連インフラ事業の支援枠組みである環欧州エネルギー・ネットワーク〔Trans-European Networks for Energy外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(TEN-E)、2020年12月17日記事参照〕の「共通利益プロジェクト(PCI)」として、2013年以来、約2億6,700万ユーロの資金を受け、必要な調査と建設工事が進められてきた。北海からの新たなガス輸入ルートの開設により、中・東欧とバルト諸国でのガス供給源の多様化と安全保障を強化する。

開通記念式典には、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領とマテウシュ・モラビエツキ首相、アンナ・モスクバ気候・環境相のほか、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相とダン・ヨルゲンセン気候・エネルギー・供給相、ノルウェーのテリエ・アースランド石油・エネルギー相らが出席。モラビエツキ首相は「ロシアが天然ガス市場を支配し、われわれが脅迫や不当な要求にさらされる時代は終わる」と述べた。また、モスクバ気候・環境相は「バルティック・パイプは、ポーランド西部シフィノウイシチェ港の液化天然ガス(LNG)ターミナル、ポーランドとリトアニア間のガス・インターコネクション・ポーランド・リトアニア(GIPL)と並び、最も重要なインフラ投資の1つだ。これによってポーランドのガスシステムは、ロシアからのガス供給から完全に独立することができる。ポーランドのみならず、欧州地域全体のエネルギー安全保障にも貢献することができる」と強調した(注)。

なお、ポーランド気候・環境省とデンマーク気候・エネルギー・供給省の間で協力協定が結ばれ、両国大臣が署名した。この協定の目的は、世界のエネルギー転換を加速し、地域の安全保障を強化する上で、ポーランドとデンマークが相互協力のための枠組みを確立することだ。

(注)ポーランドの最近のエネルギーに関する政策やインフラ整備に関しては、2022年9月6日付地域・分析レポートも参照。

(マルタ・ゴロンカ)

(ポーランド、デンマーク、ノルウェー、EU)

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