IMF理事会、拡大信用供与措置(EFF)第2回レビュー結果を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年10月14日

IMF理事会は10月7日、拡大信用供与措置(EFF)による支援に関する第2回のレビュー結果を承認した(2022年9月21日記事参照)。これにより、アルゼンチンはIMFによる30億SDR(約38億ドル)の融資金の払い込み(ディスバース)を受けることができる。

IMFとアルゼンチン政府は2022年3月に、EFFによる総額319億1,400万SDR(約440億ドル)、30カ月間の支援で合意していた。ディスバースを受けるには、支援の条件として合意した経済指標の達成状況を四半期ごとにレビューし、IMF理事会の承認を受けなければならない(添付資料表1参照)。2回目のレビューは2022年6月までのマクロ経済動向や経済政策に関して行われた。

同日に公表したスタッフレポートによると、6月末の定量的なプログラム目標のほとんどは達成されたが、外貨準備高(ネット)の下限は目標値を下回った。その要因は、輸入数量の想定以上の伸びと国際機関などによる融資の遅れとしている。また、基礎的財政収支の赤字、財政ファイナンス、外貨準備の積み増しに関する2022年と2023年の年間目標は変更しないが、予測を上回るインフレ率と外貨準備高の積み増しの遅れを反映し、短期的な四半期目標を修正する可能性にも触れている。

第2回レビュー後の主要経済指標予測値をみると、2022年と2023年の外貨準備高の積み増し額については、2022年の予測値からは8億ドル減額し、その分が2023年に加算されている(添付資料表2参照)。10月8日付の現地紙「クラリン」(電子版)によると、政府は2022年の外貨準備高の積み増し目標の減額を要請しているもようだ。なお、9月末までの外貨準備高積み増し目標の達成に向けて政府が導入した大豆輸出代金の通貨アルゼンチン・ペソへの交換に優遇為替レートを適用する措置について(2022年9月27日記事参照)、IMFは、IMF協定が定める複数通貨措置を取ってはならないとの方針に反しており、ターゲットを絞った為替対策は一時的に国際収支を支えることはできても、健全なマクロ経済政策の代用にはならないと指摘している。

IMFは、歳出の管理をさらに強化して補助金や社会支援向けの支出の効率を高めることが必要で、高止まりするインフレへの対処と外貨準備高の積み増しには、国内で実質金利プラスを維持してペソ資産への需要を促すことが必要とも指摘している。ただ、実態は、電気料金への補助金削減に関する作業が遅れているほか、政策金利の引き上げもインフレに追い付かない状況が続いている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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