アルゼンチン政府とIMF、拡大信用供与措置第2回レビューにスタッフレベルで合意

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月21日

IMFは9月19日、2022年3月に決定したアルゼンチンへの拡大信用供与措置(EFF)による支援に関する第2回のレビュー結果について、アルゼンチン政府とスタッフレベルで合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、IMF理事会の承認を経てレビューが完了すれば、アルゼンチンは、IMFによる30億SDR(約39億ドル)の融資金の払い込み(ディスバース)を受けることができる。

IMF理事会は2022年3月25日、アルゼンチン政府との合意に基づき、同国に対して約440億ドルの拡大信用供与措置(EFF)を行うことを承認している。承認後は約97億ドルが即時に融資され、以後、3カ月ごとにアルゼンチン政府とIMFが合意した経済政策プログラムの実施状況がレビューされ、レビューごとに融資が実行される。今回はその2回目で、双方は2022年6月までのマクロ経済動向や経済政策に関してレビューを行った。その上で、債務再編合意時に設定された、財政収支赤字の抑制や外貨準備高の積み増しなどの目標値について、外貨準備高の積み増しを除いて目標を達成したこと、2023年まで目標値を維持することで合意したことをIMFは明らかにした。2023年までの目標は、基礎的財政収支赤字を、2022年はGDP比2.5%、2023年は同1.9%に抑制すること、中央銀行による財政ファイナンスを2022年はGDP比1.0%、2023年は同0.6%に抑制すること、外貨準備高を2022年は58億ドル、2023年は40億ドル積み増すこととなっている。

IMFは、2022年7月中旬にシルビナ・バタキス前経済相の手腕が不安視された結果、非公式為替レートが乱高下する事態が生じたものの、セルヒオ・マッサ経済相の就任により非公式為替市場の混乱が解消されたことも評価した。このほか、政府が基礎的財政収支赤字を抑制するべくエネルギー補助金の削減に取り組んでいること、実質金利をプラスに転じるべくアルゼンチン中央銀行が政策金利を継続的に引き上げていること、エネルギー分野への投資優遇措置の導入など、政府の取り組みを評価した。

マッサ経済相は9月に入り、大豆の輸出を促し外貨準備高を積み増すために、いわゆる「大豆ドル」を導入し(2022年9月15日記事参照)、電気・ガス・水道料金に補助金の適用を受けている者の外貨購入を制限するなど外貨の収支改善策を導入したほか、近代的バイオテクノロジーおよびナノテクノロジーの開発および生産の促進に関する法律、自動車・同部品およびバリューチェーン投資振興に関する法律を公布するなど、生産活動を後押しする施策を矢継ぎ早に導入している。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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