大豆輸出業者による優遇為替レートでの外貨購入を制限

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年09月27日

アルゼンチン中央銀行は919日、中銀通達A7609PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公布し、輸出拡大プログラム(注1)の適用を受けて大豆を輸出し、優遇為替レートで輸出代金をペソに交換した事業者による外貨購入を制限した。

アルゼンチンでは、輸出で得た外貨を全てペソに交換することを輸出者に義務付けているが、ブルーレートと呼ばれる並行為替レート(注2)に対して公式為替レートが割高なため、輸出控えにつながっている。920日現在、並行為替レートが1ドル=270280ペソなのに対して、公式為替レート(卸売りレート)は1ドル=145ペソとなっており、乖離幅は100%近い。外貨不足に苦しむ政府は、外貨の稼ぎ頭である大豆の生産者らの輸出を促して外貨収入を増やすことを目的に、1ドル=200ペソで大豆の輸出代金をペソに交換することを認める輸出拡大プログラムを導入したが、今回の通達により、同プログラムの適用を受けた者による外貨の購入と債券取引を通じた外貨の取得を禁止した。

920日付の現地紙「エル・クロニスタ」(電子版)は、農業セクターの企業によるMEP(電子決済手段)と呼ばれる債券取引を通じた外貨購入の動きが活発になっているとの市場関係者のコメントを伝えており、今回の措置は、中銀がこうした動きを牽制したものとも報じている。

この度の通達に対し、農業セクターからは反発の声が上がっている。これに対して中銀は920日、中銀通達A7556により導入された、ペソの対ドル公式為替レートが下落しても、それに連動して調整金が支払われる特別な預金口座(2022年8月1日記事参照)は引き続き有効で、ペソに交換された大豆の輸出代金を預け入れることができると発表している。

(注1)必要緊急大統領令576/2022号により導入(2022年9月15日記事参照)。

(注2)並行為替レートは、市中において非公式の為替取引に適用される為替レート。外貨不足により、外貨の購入が制限されているため生まれた。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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