米国の歴代通商代表がバイデン政権の通商政策を議論、「中国との対話は必要」

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年10月19日

米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は1017日、4人の元米国通商代表部(USTR)代表を招き、討論形式のイベントを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。登壇したのは、カーラ・ヒルズ氏〔在任期間:19891993年、ブッシュ(父)政権〕、スーザン・シュワブ氏〔20062009年、ブッシュ(子)政権〕、ロナルド・カーク氏(20092013年、オバマ政権)、マイケル・フロマン氏(20132017年、オバマ政権)。バイデン政権の通商政策や対中政策で取るべき方針について議論した。

討論の前半では、バイデン政権が重視する「労働者中心の通商政策」(2022年8月22日記事参照)に関して、各氏が自身の見方を披露した。カーク氏は、多くの米国人が貿易によって雇用を失ったと考えていると指摘した上で、米国の雇用は実際には輸出に大きく依存していることをもっと明確に説明すべきと主張した。一方、シュワブ氏は労働政策と通商政策を区別する必要性を説き、「真に労働者のことを考えるのであれば、輸入により雇用の影響を受ける人々だけでなく、輸出により前向きな影響を受ける人々のことも支援すべきだ。それには、市場を自由化する貿易協定も含まれる」と述べた。

対中政策を巡って、ヒルズ氏は「中国との対話は可能」との考えを示し、中国との間に抱えている課題について段階的に対処すべきと提言した。フロマン氏も中国との対話の必要性に言及。トランプ前政権が課した対中追加関税措置(2022年10月13日記事参照)が中国に対する米国の交渉力を高めているかは議論の余地があるとしつつ、対話の機会がなければ交渉力を発揮しようがないと語った。

後半では、米国主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」(2022年9月12日記事参照)も議題に上った。シュワブ氏はIPEFで意味ある合意を結べるかに懐疑的としつつ、米国がインド太平洋地域に率先して関与していることは貿易相手国にとって朗報だと指摘した。フロマン氏はIPEFが従来の自由貿易協定(FTA)とは違い、関税削減・撤廃を含まないことについて、米国経済に占めるサービス産業の比重が大きいことに触れ、デジタル貿易における基準とルールの策定が米国経済の競争力の向上にとってより重要だと強調した。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

ビジネス短信 346be850a2f30cfa