ワクチン接種の有無に基づく感染対策終了、新型コロナとの共生が新段階

(シンガポール)

シンガポール発

2022年10月14日

シンガポール政府は10月10日から、新型コロナウイルスのワクチン接種の有無に基づく感染対策を全面的に撤廃した。これにより、ワクチン接種を完了していなくても、(1)500人以上が参加するイベントの参加、(2)入店客が踊ることを目的としたナイトクラブなどの入店、(3)飲食店での食事ができる。同国では、新型コロナウイルスとの共生に向けて感染対策を段階的に緩和しており、8月29日から室内のマスク着用を原則任意としている(2022年8月26日記事参照)。これまでに大半の対策が撤廃となったが、バスや鉄道など公共輸送と病院や介護施設ではマスク着用が引き続き義務付けられる。

オン・イエクン保健相は10月7日付の自身のフェイスブックで、「ワクチンの接種が今後の主要な防衛策になる」と述べた。オン保健相は今後、ワクチン接種完了者の定義を、ワクチンの接種の回数ではなく、定期的な接種を通じた「最新状態のワクチン接種」へと切り替えると説明した。ワクチン接種状態が最新とされるには、(1)最低接種回数として、5歳以上についてはメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン、もしくは米国のノババックス製(ヌバキソビッド)のワクチンを3回接種、中国のシノバック製(コロナバック)のワクチンについては4回の接種を完了し、(2)50歳以上について、最低接種回数を完了後、最後の接種から5カ月から1年以内に追加接種をする必要がある。保健省は、50歳未満については後日、追加接種の必要を検討するとしている。このほか、同省は10月17日から、18歳以上の成人を対象に、既存のモデルナ製(スパイクバックス)のワクチンに代わり、オミクロン型変異株に対応する2価ワクチンの接種を開始する(注1)。

また、保健省は10月25日から、生後6カ月~4歳までの幼児を対象にモデルナ製(スパイクバックス)のワクチン接種を開始する。また、5~11歳の児童については、米国のファイザーとドイツのビオンテック製のワクチン追加接種を始める(注2)。

同省によると、10月6日までの7日間の1日当たりの平均新規感染者数が約4,400人と、その前週の約2,600人から増加した。病院で治療中の感染患者は10月1日時点の239人から、11日時点で490人へと増加している。同省は、感染予防対策の緩和などに伴い感染者が増加するのは予想どおりとした上で、「医療施設の対応能力を守り、重症化する患者を増やさないことが重要だ」との考えを示した。

(注1)保健省は50歳以上の人、または最低接種回数を満たしていない人について、2価ワクチンの接種を推奨しており、10月17日から予約なしで共同検査・接種センター(JVTC)において、接種が可能(詳細は保健省の10月7日付報道発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

(注2)生後6カ月~4歳までの幼児のワクチン接種と、5~11歳の児童のワクチン追加接種の手続き詳細は保健省の10月7日付報道発表の添付資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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