米国、銀行口座未保有世帯の割合が過去最低を記録
(米国)
ニューヨーク発
2022年10月27日
米国連邦預金保険公社(FDIC)は10月25日、銀行口座未保有世帯の割合が過去最低を記録したとする調査を発表した。調査は国勢調査局と協力して 2009年から隔年で実施しているもので、今回は2021年6月に実施し、3万434世帯から回答を得た。
調査によると、銀行口座を保有していない世帯の割合は4.5%と推測される。これは米国内1億3,250万世帯のうち、約590万世帯に相当するとされている。前回の2019年調査から0.9ポイント低下し、調査開始以来の過去最低を記録した。人種別にみると、黒人世帯11.3%(前回13.8%)、ヒスパニック世帯9.3%(前回12.2%)、アジア世帯2.9%(前回1.7%)、白人世帯2.1%(前回2.5%)と、アジア世帯以外は前回から低下している。地域別では、ミシシッピ州(11.1%)やルイジアナ州(8.1%)、ニューメキシコ州(7.0%)などの南部に全国平均(4.5%)より高い州が多くみられる一方、ワシントン州(2.1%)やオレゴン州(1.6%)などの北西部や、メーン州(1.3%)やニューハンプシャー州(1.4%)などの北東部には全国平均を大きく下回る州がみられる。
FDICは銀行口座未保有割合の低下について、教育と所得の水準向上と関連していると説明している。実際に貧困率をみると、政府からの財政支援(注)を含めて算出した補足的貧困率は、2021年時点で7.8%と3年連続で減少しており、2009年の金融危機以降で最も低い値となっている(2022年9月15日記事参照)。
同調査は銀行口座未保有世帯を対象に、口座を保有していない理由も集計しており、「口座の最低残高要件を満たすだけの資金がない」ことが主因との回答が21.7%と最も多く、「銀行に対して不信感がある」(13.2%)、「プライバシー漏出への懸念」(8.4%)が続く。口座の最低残高は銀行によって異なるが、大手銀行のウェルズ・ファーゴは最低残高自体を設定していないが、500ドル未満の口座残高の場合、月10ドルの手数料が徴収される仕組みとなっている。
口座を最近開設した理由については、新型コロナウイルス対策による失業手当や給付金の受給のためとする回答も多くみられたとしている。
(注)家賃補助や食料支援、税額控除など。
(宮野慶太)
(米国)
ビジネス短信 0eed6fc388c18d3b