2021年の米貧困率、11.6%で2年連続の上昇、ジニ係数は1.2%上昇
(米国)
ニューヨーク発
2022年09月15日
米国勢調査局は9月13日、2021年の貧困率(注1)が11.6%となり、前年から0.1ポイント上昇したとする報告書を公表した。貧困者数は約3,790万人と、2020年より約40万人増加した。貧困率は2020年に6年ぶりに上昇しており(2021年9月21日記事参照)、2年連続の上昇となった。ただし、米国勢調査局は、貧困率と貧困者数ともに、前年から大きな変化はないとの評価を示している。
所得格差を表すジニ係数(0から1で分布、1は富が1人に独占されている状態を表す)は2020年の0.488から2021年は0.494と1.2%上昇し、2011年(1.6%増)に次ぐ上昇率となった。
2021年の世帯所得の中央値は7万784ドルで、2020年の7万1,186ドルから0.6%減少している。人種別では、アジア系世帯が 10万1,418ドルと最も高く、白人世帯7万7,999ドル、ヒスパニック系世帯5万7,981ドル 、黒人世帯4万8,297ドルと続いた。地域別(注2)では、西部 7万9,430 ドル、北東部 7万7,472 ドル、中西部 7万1,129 ドル、南部 6万3,368 ドルという順序になった。
他方、家賃補助や食料支援、税額控除などの政府支援を含めて算出された補足的貧困率は、7.8%で前年より1.4ポイント低下した。3年連続の低下で、2009年の金融危機以降で最も低い値となった。社会保障制度が引き続き最も重要な貧困対策とし、2,630万人が貧困から抜け出したとした。また、新型コロナウイルス対策で導入した税還付と経済刺激策により、それぞれ960万人、890万人が貧困状態から抜け出したとしている。特に子供の補足的貧困率は5.2%と前年の9.7%から大幅に低下、統計開始以来で最も低い値となった。
(注1)貧困率は、国勢調査局が定める年間所得を下回る世帯人口の割合。例えば、4人家族(父母、18歳未満の子供2人)での年間所得は2万7,740ドルとなっている(参照表)。
(注2)北東部:コネチカット、メイン、マサチューセッツ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルベニア、ロードアイランド、バーモント
中西部:イリノイ、インディアナ、アイオワ、カンザス、ミシガン、ミネソタ、ミズーリ、ネブラスカ、ノースダコタ、オハイオ、サウスダコタ、ウィスコンシン
南部:アラバマ、アーカンソー、デラウェア、フロリダ、ジョージア、ケンタッキー、ルイジアナ、メリーランド、ミシシッピ、ノースカロライナ、オクラホマ、サウスカロライナ、テネシー、テキサス、バージニア、ウェストバージニア、ワシントンD.C.
西部:アラスカ、アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ハワイ、アイダホ、モンタナ、ネバダ、ニューメキシコ、オレゴン、ユタ、ワシントン、ワイオミング
(名称で州を省略)
(宮野慶太)
(米国)
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