復興需要に高い関心、ジェトロのウクライナ進出日系企業調査

(ウクライナ、ロシア、日本)

ワルシャワ発

2022年10月26日

ジェトロが10月13日から10月21日に実施したウクライナ進出日系企業アンケート調査で、ロシアの軍事侵攻から8カ月が経過した現在、ウクライナの日系企業のビジネス拡大に対する期待が高まっていることがわかった。

今後半年から1年後の事業見通しについて、「拡大」が44%あり、「わからない」31%、「現状維持」19%、「縮小」6%で、「撤退」は0%だった。ロシアの軍事進攻直後の2月28日から3月2日かけて実施したアンケート調査(2022年3月4日記事参照)では、「わからない」が62%と最多だった一方、「現状維持」が23%、「縮小」が15%に上っていた。「拡大」と「撤退」はいずれも0%だった。

今回「拡大」を選択した理由として、復興需要への期待と、市場が順調に回復しているため販売拡大が見込めることが挙がった。「わからない」と「現状維持」の理由としては、ロシア軍撤退の時期や戦争終結が不透明なことなどがあった。「縮小」の理由では、空襲警報発令の回数が増え、戦争の長期化が予想されることが指摘された。

ウクライナから国外への駐在員の避難先としては、「ポーランド」(50%)が最も多く、「ハンガリー」(6%)、「日本」(6%)の順に多かった。38%の回答企業は駐在員をウクライナに置いていなかった。

ウクライナ人従業員を国外退避からウクライナに既に帰還させた割合については、「25%未満」(38%)で最も多く、「不明」(25%)、「75%以上」(19%)、「50%以上」(13%)、「100%」(6%)だった。

ウクライナの復興・経済再開に向けての関心度合いについて、「関心がある」が94%と大半を占めた。「関心がない」は6%だった。具体的な関心分野は、インフラ、都市開発、建築、住宅などの復興関連分野が多く、そのほか、車両販売およびメンテナンス、脱炭素、暖房機、IT、消費財、損害保険、海運、ロジスティクスなどだった。

今後ウクライナの取り組みを本格化するに当たって必要なこと(複数回答可)は、外務省の危険レベルの見直し(63%)が最も多く、輸送インフラの正常化(50%)、ウクライナ政府復興計画に日本企業が参加するための情報(44%)、ウクライナ男性スタッフの国外移動の自由化(25%)、通関手続きの円滑化(25%)の順となった。そのほか、ロシアのプーチン政権が排除されない限りは外務省の危険レベルが見直されるとは思えない、また、ウクライナの経済再生と復興の支援に向けて案件形成していくためには、単に外務省の危険レベルを表面だけ見直すのではなく、日本人駐在員・出張者が短期間でもウクライナに入国して活動できる安全確保の体制を整えることが重要と訴える回答もあった。

(石賀康之)

(ウクライナ、ロシア、日本)

ビジネス短信 0998a9c020ecdf3a