中谷補佐官、在タイ日系企業に人権尊重ガイドラインを解説

(タイ)

バンコク発

2022年09月26日

ジェトロは922日、日本政府が発表した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、在タイ日系企業へ紹介するセミナーをバンコク市内で実施した。中谷元内閣総理大臣(首相)補佐官が講師として登壇した。同ガイドラインは、世界的にサプライチェーンにおける人権尊重への取り組みの機運が高まる中、日本政府が913日に策定したもの(2022年9月16日記事参照)。アジア初の「ビジネスと人権」に関するガイドラインであり、中谷補佐官が海外の進出日系企業向けに同ガイドラインを解説するのも初めてとなる。

写真 講師の中谷元内閣総理大臣補佐官(ジェトロ撮影)

講師の中谷元内閣総理大臣補佐官(ジェトロ撮影)

中谷補佐官によると、同ガイドライン策定の背景としては、2011年に国連において、ビジネスと人権に関する指導原則が全会一致で支持されるなど、海外で企業に人権尊重を求める動きが加速していることや、欧米諸国で法規制によって企業に人権尊重を義務付ける動きが活発化しており、日本企業も今まで以上に対応が求められる状況になっていることなどがあるという。

写真 欧米ではビジネスと人権に関する動きが活発化(ジェトロ撮影)

欧米ではビジネスと人権に関する動きが活発化(ジェトロ撮影)

同ガイドラインにおいて企業は、その人権尊重責任を果たすため、人権方針の策定、人権デューディリジェンス(注1)の実施、救済(注2)の実施が求められており、海外でビジネスを行う日系企業にとって、今後、サプライチェーン上の人権尊重を行う指針となる。

会場には、在タイ日系企業を中心に約40人のビジネス関係者が参加した。質疑応答では、在タイ日系企業が人権尊重にどう取り組むべきかなど、活発な質問が寄せられた。参加した企業関係者からは「ガイドラインの内容について理解が深まった」という声が聞かれ、「サプライチェーンにおける人権は、当社にとって今後策定すべき事項だ」と対応を検討する動きもみられた。

(注1)人権デューディリジェンスとは、企業のサプライチェーン上の人権侵害リスクを特定し、防止・軽減する試み。

(注2)ここでの救済とは、人権侵害の予防、適切な解消ができなかった場合に、謝罪、原状回復、金銭的または非金銭的補償、再発防止などを実施すること。

(藤田豊)

(タイ)

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