ブリンケン米国務長官が南ア訪問、2国間関係の強化に取り組む

(南アフリカ共和国、米国、アフリカ)

ヨハネスブルク発

2022年09月16日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は88日、約50人の高官や専門家を含む一行とともに南アフリカ共和国を公式訪問し、ナレディ・パンドール国際関係・協力相と2国間協力に関して議論した(2022年8月18日記事参照)。今回のような議論の場は、南ア民主化後の1994年から実施されており、協力分野には貿易・投資、技術移転、教育、保健、環境などがある。両国間のハイレベル対話は、2010年のバラク・オバマ大統領とジェイコブ・ズマ大統領(ともに当時)時代に開始されたものの、ドナルド・トランプ前米政権では中断されており、7年ぶりの実施となった。

貿易についてパンドール大臣は、南アにとって米国は重要な貿易・投資相手国であり、今後のさらなる拡大に期待するとしつつも、貿易障壁となっている米通商拡大法232条(2021年12月9日記事参照)に基づく関税の撤廃が必要と述べた。

南ア政府によると、2020年の対米貿易は、輸出が664,140万ドル、輸入が412,051万ドルと、同国にとって米国は第3の貿易相手国となっている。また、米国は長く南アへの最大の投資国で、1994年以降のFDI総額の約40%を占める。現在は600社以上の米国企業が進出しており、製造業、金融・保険業、卸売業が中心だ。2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響がありながら、グーグルが約14,000万ドル、主に食品、飲料製造を手掛けるペプシコが10億ドル超の投資を行った。20211月にはフォードがプレトリアにある製造工場の拡張を含む16億ドルの投資も発表している。南ア企業の対米投資は、大手エネルギー会社サソールが2020年にルイジアナにあるGTL施設(注)に最大210億ドルの投資を決定した。メディア報道によると、米国への外国直接投資製造プロジェクトでは最大級だという。

パンドール大臣は冒頭演説でそのほか、現在進んでいる具体的な米国との取り組み事例にも触れた。その1つが、北ケープ州にある電波望遠鏡サイト「スクエアキロメートルアレイ(SKA)」での天文学の共同研究だ。最大級の望遠鏡が設置されるこの場所は、世界的な研究者が集まる研究の場としてだけでなく、雇用の創出や若手研究者の育成などにも役立っていると述べた。

(注)天然ガスから液体燃料を製造する施設。

(堀内千浪、トラスト・ムブトゥンガイ)

(南アフリカ共和国、米国、アフリカ)

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