全人代常務委員長、ロシアを訪問しプーチン大統領と会談

(中国、ロシア)

北京発

2022年09月14日

新華社の報道によると、中国の栗戦書・全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員長(中国共産党中央政治局常務委員で党内序列第3位)は9月7日から10日にかけてロシア極東のウラジオストクを訪問した。期間中、栗委員長はロシアのウラジーミル・プーチン大統領やビャチェスラフ・ボロジン下院議長などと会談したほか、7日に行われた第7回東方経済フォーラム(2022年9月12日記事参照)全体会合に出席してあいさつした。

栗委員長はその中で、今回の東方経済フォーラムのテーマである「多極化世界への道」はまさにタイムリーなものと評価した上で、世界の多極化は歴史の発展の大きな流れであること、中国でも習近平国家主席が2021年以降、世界発展イニシアチブや世界安全保障イニシアチブを提唱していると紹介し、国際社会とともに、同イニシアチブが定着して成功するよう推進していくとした。その上で、中国は世界の多極化の確固たる支持者であるとともに積極的な推進者であり、ロシアを含む域内各国とともに「一帯一路」構想の共同建設を深化させていくとした。

また、栗委員長は、今後ロシアと貿易やエネルギー、農業、インフラ建設、科学技術、教育、医療、文化などの分野で全方位の協力を強化するとともに、極東での中ロ協力の成果を得るため、中国東北地域の全面的振興とロシアの極東開発国家戦略との連携を進めていくとした。

東方経済フォーラムの開催期間中には、中ロの資源取引でも動きがみられた。中国石油天然気集団(CNPC)は、同集団の戴厚良董事長がロシア・ガスプロムのアレクセイ・ミレル会長と9月6日にオンラインで会談し、天然ガス分野の協力について協議したほか、「中ロ東線天然ガス売買契約書」(注)の付属協定に署名したと発表した。中国メディアでは、ガスプロムは中国向けの天然ガス輸出の決済通貨を今後ドルとユーロから人民元とルーブルに変更すると発表したと報じられている。

(注)中国・ロシア間を結ぶ天然ガスパイプラインはロシア・サハ共和国(ヤクーチヤ)南部のチャヤンダ鉱区(埋蔵量1兆2,000億立方メートル)から中国東北部にガスを輸送するもの。2014年5月にガスプロムとCNPCが年間380億立方メートルの天然ガスを30年間供給する売買契約を締結し、2014年9月1日から建設が開始された(2019年12月12日記事参照)。ロシア国内の「シベリアの力」から中国国内に連結する「中ロ東線」は、2019年12月に北区間(黒竜江省黒河市から吉林省松原市長嶺県)が稼働し、2020年12月に中央区間(吉林省松原市長嶺県から河北省廊坊市永清県)が稼働(「新華社」2020年12月3日)、南区間(河北省廊坊市永清県から上海市)は2021年1月に全面的に建設が開始された。稼働は2025年予定とされている(「経済日報」2021年1月7日)(2022年4月8日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国、ロシア)

ビジネス短信 dad50099049c7a7c