双日が米ベータに出資で合意、「空飛ぶクルマ」の日本市場開拓へ

(米国、日本)

米州課

2022年09月21日

双日は915日、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発製造を目指す米国のベータ・テクノロジーズ(BETA Technologies)と、日本でのeVTOL市場開拓とその確立のための協業に向けて、同社に出資することで合意した。

ベータは2017年にバーモント州に設立されたeVTOLメーカーで、機体「ALIA-250」の開発を進めている。双日の発表によると、機体の最大積載量は1,400ポンド(約635キロ)で、航続距離は約500キロに及ぶという。ベータは物流や防衛、医療搬送などの用途で市場の開拓を目指しており、エアタクシーとしての利用も視野に入れている。また、同社の充電設備はほかの電動航空機や電気自動車(EV)への供給も可能だ。

「空飛ぶクルマ」とも称されるeVTOLについて、ANAホールディングスも20222月、米国企業ジョビー・アビエーションズと、日本での運航事業の共同検討を発表している(2022年2月21日記事参照)。両社が締結した覚書には、地上交通での連携などを想定し、トヨタ自動車も参加している。また、20215月から、2025年の大阪・関西万博での空飛ぶクルマ飛行実現に向け、経済産業省と国土交通省合同のタスクフォースも設置されている。

双日とベータは、日本でのeVTOLの安全かつ利便性の高い社会実装を実現するために、乗員の養成や整備施設の設置など、関連領域の体制構築も進めていくとしている。さらに、日本でeVTOL普及を促進するため、合弁会社の設立も検討している。日本企業と米国企業の協業や政府の促進策に注目が集まっている。

(片岡一生)

(米国、日本)

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