褐炭・石炭による発電量が大きく増加、天然ガスは減少

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2022年09月15日

ドイツ連邦統計局は97日、2022年上半期の国内の発電量(暫定値)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。国内で発電し、電力網に供給した電力を基に算出した。全体では前年同期比1.3%増の2,632億キロワット時(kWh)だった。また、2022年上半期の電力の輸出入量(暫定値)についても発表した。

従来型エネルギー(褐炭・石炭、天然ガス、原子力)による発電量は前年同期比7.1%減の1,356kWh、構成比は同4.7ポイント減の51.5%となった(添付資料表1参照)。電源別にみると、褐炭・石炭火力による発電量は17.2%増の826kWhと大きく増加し、全体の31.4%を占め、引き続き最も重要な電源となった。天然ガスによる発電量は17.9%減の307kWhで、構成比は2.7ポイント減の11.7%に低下した。特に2022年第2四半期(46月)には、褐炭・石炭による発電量の構成比は31.3%(前年同期比23.5%増)と大幅に上昇した一方、天然ガスによる発電量の構成比は10.0%(同19.3ポイント減)と大きく減少した。原因としては、天然ガス価格の高騰による節約(2022年6月14日記事参照)や、業界の製造縮小・停止、発電における天然ガスの代替となる褐炭・石炭の利用増加が考えられる。

原子力の発電量は前年同期比50.9%減の158kWh、構成比は同6.4ポイント減の6.0%になった。2021年に稼働中だった原子力発電所6基のうち、脱原発計画(2022年9月13日記事参照)に基づいて2021年末に3基が廃炉されたためだ。

再生可能エネルギーによる発電量は、前年同期比12.1%増の1,276kWh、構成比は同4.7ポイント増の48.5%となった。電源別の構成比は、風力が25.7%(3.6ポイント増)、太陽光が11.2%(1.8ポイント増)と続いた。前年同期比で発電量が増加した理由としては、2021年第1四半期(13月)は風の弱い日が多かったことや、2022年上半期は例年より日照時間が長かったことが挙げられる。

電力輸入量は前年同期比9.3%減少した(添付資料表2参照)。特にフランスからの輸入量は58.1%減と大きく落ち込んだ。また、2022年上半期は1990年の同統計の開始以降初めて、フランスへの電力輸出量がフランスからの電力輸入量を上回った。理由としては、フランスの原子力発電所の多くがメンテナンスや腐食発生のため停止中のためと考えられる(2022年9月7日記事参照)。オランダとオーストリアからの電力輸入量はそれぞれ29.2%、9.1%減少した。ドイツからの電力輸出量は14.8%増加した。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

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