多くの中堅・中小企業はエネルギー節約や値上げ実施、影響は既に消費者にも

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

デュッセルドルフ発

2022年06月14日

ドイツ復興金融公庫(KfW)は5月24日、中堅・中小企業におけるエネルギー価格の高騰に関する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同調査は、5月2~7日に年間売上高5億ユーロ以下の企業を対象として実施され、2,407社が回答した。

調査では、2022年1~4月のエネルギーコストについて、回答者の54%が「前年同期比で上昇した」と回答。一方で、31%が「現時点では算定できない」、16%が「前年同期と同程度」と回答した。「低下した」との回答は0.02%。また、エネルギーコストは平均すると前年同期比で41%上昇しており、製造業では48%の上昇となった。

ロシアのウクライナ侵攻が大きな要因である、エネルギー価格高騰への対応として、対策を1つ以上実施した企業の割合は69%に上った。実施した対策は、会社の事務所・工場での暖房や車両燃料の節約などによるエネルギー消費の削減が最も多く、54%の回答企業が実施済みとした(添付資料図参照)。また、21%がEモビリティ(注)へ投資した。20%が再生可能エネルギー(以下、再エネ)による電力の長期の供給契約を締結したと回答し、13%が再エネによる発電や熱供給システムへ投資したと回答したが、この対策に関しては今後12カ月間に実施予定とする企業の回答が多かった。調査レポートでは、再エネに注目する企業の動機として、化石燃料供給の逼迫による電力料金の上昇の中で長期的に安定してエネルギーを確保したいという思惑や、再エネを利用してエネルギー自給率を向上させたいということがあると分析した。

なお、自社製品やサービスへの価格転嫁に関しては、エネルギーコストが上昇したと回答した企業のうち38%が既に値上げを実施し、28%は2022年末までに値上げを実施する予定と回答した。一方、27%は現在の競争状況または顧客が許容できないため、値上げは不可能と回答した。

ドイツでは、物価上昇が川下の消費者にまで及んで日常生活にも影響している。連邦統計局によると、ドイツの2022年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.9%上昇と、1973年の第一次石油危機以来の上げ幅を記録(2022年6月7日記事参照)。また、公共放送ARDが5月30日~6月1日に行った電話・インターネット調査(回答者1,337人)では、日常生活に制限がかかると回答したのは47%で、所得の低い世帯に限ると77%に上った。

(注)電気を動力とする移動手段もしくは自動車のこと。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ、ウクライナ、ロシア)

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