トカエフ大統領、首都改称を含む憲法改正法案に署名

(カザフスタン)

タシケント発

2022年09月21日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は9月17日、憲法改正法案「カザフスタン共和国憲法の修正と追加について」に署名した(大統領府ウェブサイト9月17日)。改正法は19日から施行された。

改正法の中身は、9月1日の大統領教書演説の中で同大統領が提案していた(2022年9月7日記事参照)。憲法41条1項および42条5項が改正され、大統領の任期を5年から7年に延長するとともに、連続の再選が禁止された。91条2項には、大統領の任期7年と再選の禁止について修正することを禁じる規定が追加された。

71条1項も改正され、6月の国民投票(2022年6月10日記事参照)で復活が決まった憲法裁判所の裁判官の任期を、政治勢力からの独立性を担保するため、大統領任期より1年長い8年とし、再選を禁止した。

首都をヌルスルタンからアスタナに改称

憲法改正法には、首都の名称をヌルスルタンから以前のアスタナに変更する内容も盛り込まれていた。トカエフ大統領は9月17日、行政区域に関する共和国法の規定に基づいて首都の改称を命じる大統領令第1017号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発令、19日に発効した。カザフスタンの首都は1997年にアルマトイ市から旧アクモラ市に遷都し、1998年に「アスタナ(カザフ語で「首都」の意)」に改称された。2019年、ヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領から大統領職を引き継いだトカエフ大統領が、ナザルバエフ氏の功績をたたえ、アスタナを「ヌルスルタン」に改称した(2019年3月25日記事参照)。しかし、市民からの反発が根強く、長年にわたり改称すべきとの要望があった。2022年9月2日、下院議員の一部グループが憲法改正法案に改称を盛り込むことを提案し、9月16日の上下院議会で採択された。

首都の改称が決まると、市民から歓迎する声が多く聞かれた。一方で、議会議員の日和見的な態度(注)に批判的な声も多い。トカエフ大統領は、ナザルバエフ前大統領が果たした功績は歴史的事実で、首都改称は支持するが、主要都市の通りや空港、公園をはじめとする公共施設に前大統領にちなんで付けられた名称は変更すべきでないと表明している(米国系現地メディア「アザティク」9月13日)。

(注)ヌルスルタンへの改称、アスタナの名称復活ともに、議会は全会一致で採択している。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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