全経連が「新政権、新しい韓日関係のための協力方案」セミナー開催

(韓国、日本)

ソウル発

2022年09月12日

韓国の全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に相当)は9月6日、日韓の政産学官の関係者の参加の下、「新政権、新しい韓日関係のための協力方案」セミナーを開催した。

日韓関係全般について、許昌秀(ホ・チャンス)全経連会長は「韓日両国国民は過去よりも未来を重視している(2022年8月17日記事参照)」と述べ、「両国関係のバイブルである『金大中・小渕宣言』(注)の時代まで両国関係を回復させなければならない」と強調した。鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長は「両国は民主主義と市場経済を共有する共同体であり、朝鮮半島と東アジアの繁栄と安全保障を担う2つの軸にならなければならない」と述べた。

ビデオ形式で参加した額賀福志郎衆議院議員(日韓議員連盟会長)は「インド太平洋経済枠組み(IPEF)やチップ4など、アジア太平洋地域の安定的なサプライチェーン構築のため、日韓が協力する分野は多い」と述べた。また、鄭成春(チョン・ソンチュン)対外経済政策研究院副院長は、日韓が協力可能な有望な分野として、(1)海外資源の共同開発、(2)半導体や素材、部材、装置に関連した対韓投資の拡大、(3)第5世代移動通信システム(5G)機器に関する協力、(4)データセンターの韓国への設置、(5)韓国のIT人材の日本への就職などを提案した。

セミナーでは、日韓が直面する諸課題についてもさまざまな見解が述べられた。朝鮮半島出身労働者への賠償について、文喜相(ムン・ヒサン)元国会議長は、解決のための「5つの原則」を示し、原告への賠償については、日韓国民・企業の自発的な寄付金を財源とした基金の造成や日本の反省と謝罪が前提との考えを示した。

陳昌洙(チン・チャンス)世宗研究所日本研究センター長は「日本の対韓輸出管理措置の解除や、韓国による韓日秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の延長などを進めることで、朝鮮半島出身労働者問題に関する現金化措置の猶予が考慮されるだろう」と述べた。さらに「特別法による措置を前提とした場合、韓国の与野党合意が必要であり、まずは韓日両国の信頼回復が優先課題」と指摘した。

(注)宣言の内容については、外務省ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(当間正明)

(韓国、日本)

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