光復節の尹大統領演説、日本との関係改善に意欲を示す

(韓国)

ソウル発

2022年08月17日

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は815日、第77周年光復節(注1)の演説を行った。尹大統領は日韓関係について、「かつて政治的支配から脱すべき対象だったが、いまや世界市民の自由を脅かす問題に立ち向かい、ともに力を合わせなければならない隣国」だと述べ、「両国の未来と時代的使命に向かって進むとき、歴史問題も解決され得る」などと、両国間の関係改善に意欲を示した。

他方、演説では、両国の個別の懸案事項に関する具体的な解決方法は触れられず、政府と国民が互いに尊重し、経済、安全保障、社会、文化にわたる幅広い協力を通じ、国際社会の平和と繁栄にともに寄与しなければならない、と述べるにとどまった。

また、尹政権での重要な課題の1つとして挙げられている朝鮮半島の非核化については、「全世界の持続可能な平和に必要不可欠」と強調した。非核化を前提として、食糧支援プログラム、電力インフラ支援、港湾・空港の現代化、農業生産性向上支援、病院・医療インフラの現代化、国際投資・金融支援プログラムなどの支援を行う、と述べた。

現地メディアの「朝鮮日報」(816日)は、今回の尹大統領の演説を、「米中対立やロシアのウクライナ侵攻などで国際社会の対立が明確になった状況において、自由民主を掲げる日本は韓国の重要な協力対象という認識を表した」と分析した。また、同紙によると、ソウル大学の朴喆煕(パク・チョルヒ)教授は「尹大統領は日本を過去の歴史的視点から脱し、自由、人権、法の支配という普遍的価値を共有する協力的なパートナーと考えている」「首脳がすぐに動くのは難しいものの、9月の国連総会前までには両国が歴史問題をどのように解決していくか、具体策を示さなければならない」と述べている。

市民レベルでは、全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に相当)が811日、「日韓関係に対する両国国民の意識調査」(注2)の調査結果を発表した。「両国政府が関係改善に積極的に取り組むべき」と回答した割合は、韓国で85.8%、日本で67.6%(20225月調査)だった。また、「両国関係改善のため、『過去』と『未来』のどちらを優先するか」との設問に対し、未来と回答した割合は、韓国で53.3%、日本で88.3%(20228月調査)となり、関係改善を期待する割合が多かった。

(注1)日本の植民地支配からの解放を記念する祝日。

(注220225月と8月の2回に分けて調査を実施。両国に居住する18歳以上の男女を対象にオンラインパネル調査を実施し、5月は1,000サンプル(韓国500人、日本500人)、8月は632サンプル(韓国323人、日本309人)を集計。

(当間正明)

(韓国)

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