バイデン米政権、石油戦略備蓄から1,000万バレル放出、放出予定量の9割以上を消化

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月21日

米国エネルギー省は9月19日、石油戦略備蓄(SPR)から最大で1,000万バレルを追加的に売却すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、2022年3月に発表されたSPRから半年間で1億8,000万バレルを放出する計画(2022年4月1日記事参照)の一環で、市場への売却は今回で6回目となった。累積売却量は、今回を含めると約1億6,500万バレルに達し、放出予定量の9割を超えた。

売却入札は9月27日まで、販売契約は10月7日までに実施され、11月に供給される予定となっている。テキサス州のビッグサイトおよびルイジアナ州のウェストハックベリーにある貯蔵施設から、それぞれ最大500万バレルが放出される。

WTI原油先物価格は、世界的な景気後退への懸念などを背景に、直近ではピークだった6月第2週の1バレル(約159リットル)当たり120.43ドルから、9月第2週時点で85.29ドルまで約3割下落している。これに伴い、ガソリンの全米平均小売価格も、6月第3週の1ガロン(約3.8リットル)当たり5ドルから、9月20日には3.67ドルへと13週以上連続で下落している。財務省は、各国と協調してSPRを放出することで、ガソリン価格を1ガロン当たり最大で40セント引き下げたと分析している。

一方、米国のSPRは、累次の市場放出により約4億3,410万バレルにまで減少し、1984年10月以来の低水準となっている。バイデン政権は、2023年度以降のSPR積み増しのため、5月5日に原油を買い戻す長期計画を発表しており、今秋ごろから原油市場の状況に応じて6,000万バレルを買い戻す予定だ。ブルームバーグ(9月13日)は、買い戻しの予定時期が迫る中、原油価格が1バレル80ドルを切ったタイミングで、SPRを積み増すのではないかと報じている。また、エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は、1億8,000万バレルの緊急放出後のさらなる放出の必要性について、政権内で検討していると述べている(ロイター9月8日)。

(宮野慶太)

(米国)

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