IMF理事会、拡大クレジットファシリティーを承認

(ザンビア)

ヨハネスブルク発

2022年09月15日

IMFは8月31日、ザンビアに対する新規の拡大クレジットファシリティー(ECF)を理事会が承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これによってザンビアは3年2カ月にかけて約13億ドルの融資を受け、マクロ経済の安定化と回復力ある包括的な経済成長の醸成を目指す。IMF理事会の承認を得て、ザンビアは即時に1億8,500万ドルの支援を受けることが可能となった。

同国は3年前からIMFと協議を続けていたが、エドガー・ルング前政権下で交渉が難航した。一方、ハカインデ・ヒチレマ現大統領は経済の立て直しを最優先課題とし、2021年8月の大統領就任後早々にIMFとの融資合意を公約。同年12月にIMFとスタッフレベルの合意に至っていた(2022年2月21日記事参照)が、今回、理事会で正式に融資が承認されたかたちだ。

ザンビア中央銀行のデニー・カリャリャ総裁によると、今回のECFで得られる融資の半分はまず、財政支援と外貨準備に活用する予定だ。また、自動車燃料補助金の中止や、農業補助金プログラムの効率化、非効率な公共投資の削減などの実施が求められるという。

同国は173億ドルの対外債務を抱えており、IMFは「債権者と債務再建計画について合意することが必須」としている。2国間債権者委員会は6月に組織されたばかりで、覚書の締結は2022年末になる見込みだ。また、ユーロ債はザンビアの公的対外債務の約20%を占めており、最初に発行されたユーロ債7億5,000万ドルは10月に満期を迎える。政府は民間債権者との交渉を9月中に始めたい意向だ(9月2日付「Zambia Daily Mail」)。

なお、ECFの承認が発表された9月1日、ザンビア通貨・クワチャは対ドルで3.1%上昇し、2020年3月10日以来の通貨高を記録した。そうした中で同日、ヒチレマ大統領は第8次国家開発計画(2022~2026年)の開始を発表するなど、経済の立て直しを進めている。

(堀内千浪、高瀬かおり)

(ザンビア)

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