ヒチレマ政権初の中期予算計画を発表、マクロ経済安定が目標
(ザンビア)
ヨハネスブルク発
2022年02月21日
ザンビアの財務国家計画省は、1月付で今後3年間の中期予算計画(白書)を発表した。2021年8月の政権交代後、ハカインデ・ヒチレマ政権として初の中期予算計画だ。
中期計画によると、ザンビア経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年の実質GDP成長率はマイナス2.8%と落ち込んだが、2021年は3.3%に回復する見込みだ。政府は、2022年に3.5%、2023年3.7%、2024年4.4%のプラス成長を予測し、農業、観光業、鉱業、製造業、エネルギー、ITなどの分野において、成長戦略を示していくとした。例えば、ザンビアの輸出収入7割を占める鉱業部門では、主要鉱物である銅の生産量を10年以内に80万トンから300万トンに増産することを目標にし、さらなる投資も呼び込む意欲をみせた。また、法人税における鉱物資源使用料の損金算入が再開される見込みで、政府は今後も鉱業税制見直しを検討する。
2019~2021年の財政赤字額は平均でGDPの10.9%を占めたが、2022~2024年では6.1%に抑える計画だ。同3年間の歳入は3,529億クワチャ(約2兆1,527億円、1クワチャ=約6.1円)、歳出は4,487億クワチャ(償還を除く)が見込まれている。赤字分の958億クワチャは国内外の市場から調達する予定だ。債務管理についても触れ、2022年中に拡大クレジット・ファシリティ(ECF)再開についてIMFと正式合意に至る見込み(スタッフ・レベルでは2021年12月に合意)で、債務再編協議やG20債務処理のための共通枠組みを活用するとしている。
インフレ率については、2024年末までに1桁台に下げる目標を定めた。2020年は平均15.6%だったインフレ率が、2021年は平均22.1%まで上昇した。白書によると、クワチャ安とエネルギー価格上昇、2018、2019年の干ばつによる影響と新型コロナウイルス感染拡大のロックダウンによる混乱で、食料価格が上昇したことが要因とされる。財政再建の期待からか、2021年の大統領選挙直前からクワチャ高に振れ、2022年1月時点では15.1%まで下がってきている。
フェリックス・ンクルクサ財務局長は、現地メディアに対して、政策がマクロ経済安定、財政と債務の持続性確保、経済成長の回復を目指し、ザンビア国民の生活を改善することに重点を置いていると述べた(「ルカサ・タイムズ」2022年2月8日)。
(堀内千浪、高瀬かおり)
(ザンビア)
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