ASEAN経済大臣会合が開催、域内経済統合に向け議論

(ASEAN、カンボジア)

ジャカルタ発

2022年09月22日

第54回ASEAN経済大臣会合(AEM)が9月13~15日、カンボジアのシェムリアップで開催され、会合後に共同メディア声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が採択された。

声明では、「直近のウクライナ情勢により、世界のバリューチェーンが混乱し、さらにはインフレが加速したことにより、経済成長への期待が減少している」と外部情勢を分析した。その上で、「循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行の一環として、カーボンニュートラルとデジタル経済が今後の地域経済発展の原動力となる」とし、「ASEANは、持続可能性とデジタル化に関する取り組みを倍増する」と強調した。

物品貿易分野に関しては、2022年3月から開始されたASEAN物品貿易協定(ATIGA)アップグレード交渉について言及された(2022年3月25日記事参照)。また、電子フォームD(e-Form D、注)につき、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの4カ国が既に導入している一方で、残りの6カ国(ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、シンガポール)に対し早期の導入を促したほか、ASEANシングルウィンドウ(ASW)や各国のナショナル・シングルウィンドウ(NSW)が利用できない場合のみ、フォームD原本の利用が奨励されるとした。

ASEAN統一関税品目分類コード(AHTN)2022年版については、カンボジア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールおよびタイが導入済みとし(2021年8月30日記事2022年3月31日記事参照)、残りのASEAN加盟国に対しては、2022年末までの導入を目指すよう促した。また、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、タイについては、AHTN2022でのATIGA関税削減表案が承認されたことを歓迎するとした。

RCEP閣僚会合も開催

AEM会合に合わせ、9月17日には地域的な包括的経済連携(RCEP)協定閣僚会合も開催され、共同メディア声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が発表された。声明では、各国当局がRCEP協定の民間企業による利用を拡大するために努力していくことが記載された。また、RCEP協定に関する各種会合を補助する役割を担う、RCEP事務局の早期設立を期待するとした。一部報道では、カンボジアが同事務局の設置国に立候補している(「プノンペンポスト」9月10日)。

(注)フォームDは、ATIGAを利用する際に必要となる原産地証明書で、その電子版がe-Form Dと呼ばれる。

(上野渉)

(ASEAN、カンボジア)

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