米連邦地裁が「特別管理者」の任命認める、トランプ氏宅押収文書の犯罪捜査は一時停止へ

(米国)

米州課

2022年09月07日

米国フロリダ州南部地区連邦地方裁判所は95日、米国連邦捜査局(FBI)が88日にドナルド・トランプ前大統領の家宅捜索で押収した文書の捜査(2022年8月17日記事参照)に関して、トランプ氏側が求めていた第三者の立場で監督する「特別管理者(special master)」の任命を認めるとの決定を下した。

今回の決定によると、司法省側とトランプ氏側は協議の上、共同で、特別管理者の候補者リスト、および特別管理者の権限の範囲などの説明文書を99日までに提出しなければならない。その後、裁判所が特別管理者を任命する。特別管理者は、弁護士が任命されることが通例という。特別管理者が任命されるまでの間、FBIが押収した資料について、犯罪捜査目的での検証は一時的に禁止される。ただし、国家安全保障を目的とした検証は継続できる。

米国の祝日である95日の「労働者の日(Labor Day)」に決定を下したことについて、同連邦地裁のアイリーン・キャノン判事は「異常な状況下で少なくとも公正さと誠実さの体裁を確保するため」と述べている。

トランプ氏側は8月、FBIに押収された文書の扱いについて特別管理者の任命を求めて提訴するとともに、押収文書の捜査差し止めや捜索令状の範囲外の文書返却を求めて、補足動議を提出していた(2022年8月30日記事参照)。政治紙「ポリティコ」(電子版95日)は、今般のフロリダ南部地裁の決定について、トランプ氏側の主張を認めたというよりも、トランプ氏側が指摘する「問題を提起するためのプロセスを作成」したと評した上で、まだ初期段階にある政府の捜査を「数週間から数カ月遅らせる」と指摘している。

(今井未来)

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