アジア3カ国での営業秘密漏えい対策を専門家が解説

(中国、タイ、ベトナム)

知的財産課

2022年09月05日

ジェトロは85日、「中国、タイ、ベトナムにおける営業秘密漏えい対策セミナー」(オンライン)において、従業員のSNS利用による漏えいなど、問題となりがちな事例を含め、3カ国における営業秘密漏えいに関する現状と対策について日本企業関係者に解説した。海外からの参加者も含め、200人を超える参加があった。

セミナーに登壇した専門家は、中国とベトナムに共通する事例として、従業員によるSNSなどへの営業秘密のアップロードの問題を指摘した。この問題への対策として、中国について講演したIP FORWARD法律特許事務所の本橋たえ子弁護士は、社内におけるSNSの利用状況を把握した上で、社内の状況を踏まえたルール策定の重要性を指摘した。他方、ベトナムについて講演した長島・大野・常松法律事務所の井上皓子弁護士は、管理職を含めた従業員に、研修を通じて秘密保護への意識を持ってもらう必要性を指摘した。

タイに関しては、TMI総合法律事務所バンコクオフィスの高祖大樹弁護士が、同国で留意すべき事項として、タイの営業秘密法が定める「秘密管理性」(注)が現地司法に認められることの重要性を指摘した。

参加者からは、営業秘密漏えいを防止するための監視カメラや入退管理システムなどの設置、社内における営業秘密の共有範囲、営業秘密漏えい時の損害賠償請求など、実務的な内容について関心が寄せられた。

今回のセミナーは、経済産業省委託「海外における営業秘密漏えい対策支援事業」の一環として開催した。ジェトロでは2019年度から同事業を実施、延べ84社を支援している。2022年度は中国、タイ、ベトナムのほか、新たにインドネシアを対象国に加え、海外拠点での営業秘密管理体制導入促進を目的とした、現地の専門家による各種コンサルテーションや社員向けの研修といったサービスを提供している。また、日本国内でも、今後海外で対策行いたい企業向けにコンサルテーションを実施している。

セミナーでは、前年度に同事業を利用した麦姝商貿(上海)法務部の寿海琳氏、NTNアセアン・大洋州・西アジア地区総支配人室企画・内部統制部主任の片山健氏による、それぞれの海外拠点における対策を紹介も行われた。

(注)当該情報の管理者が、秘密を保持するために適切な手段を講じていることを指す。

(刈屋壮二郎)

(中国、タイ、ベトナム)

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