バイデン米大統領、「より安全な米国計画」で犯罪対策を訴え

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月01日

米国のジョー・バイデン大統領は830日、ペンシルベニア州ウィルクスバリで銃規制など犯罪対策について演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。大統領は自身の訴える犯罪対策を「より安全な米国計画」と呼び、警察の増強や殺傷能力の高い銃器の販売禁止を実現する考えを示した。

バイデン大統領は計画の一環として、全米で10万人以上の警察官を新規に採用して訓練することを支援すると言明し、この国の治安に対する答えは、警察予算を削ることではなく、警察に必要な追加資源を与えることだと語った。また、連邦政府が作成した、不祥事を起こした警察官の責任を追及できるデータベースは州や地方自治体で同様の改革を実施する上で役に立つだろうと述べた。

大統領はまた、6月に成立した超党派による銃規制法(2022年6月27日記事参照)に基づき、銃暴力を減らすと主張した。全米ライフル協会(NRA)の支持を失うことを懸念して同法案に反対した共和党議員を批判した上で、「米国で殺傷能力の高い銃器を禁止する決意だ」と訴えた。選挙で選ばれた公人に殺傷能力の高い銃器の販売や所持禁止の是非を尋ね、もし答えが反対だった場合には、彼らに投票しないよう聴衆に呼びかけた。これには、11月に行われる中間選挙が念頭にあるとみられる。中間選挙で重視される項目として、銃規制や犯罪は経済やインフレに次いで関心が高いとの世論調査結果もある(2022年8月29日記事参照)。そのほか、バイデン大統領は「より安全な米国計画」で、オピオイドまん延への対処や若者の犯罪防止に取り組むと説明した。

演説の最後に、米国をより安全にするためには法の支配が必要だと強調した。202116日の連邦議会議事堂襲撃事件を擁護するドナルド・トランプ前大統領支持派の共和党議員は法と秩序を主張する資格はないと批判。加えて、連邦捜査局(FBI)がフロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」を捜索した後、FBIへの暴力や脅迫が起きていることを強く非難した(2022年8月30日記事参照)。

(甲斐野裕之)

(米国)

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