米8月の雇用者数31万5,000人増、失業率は3.7%に上昇、時給の伸び横ばい
(米国)
ニューヨーク発
2022年09月05日
米国労働省が9月2日に発表した8月の非農業部門雇用者数は前月から31万5,000人増加し、市場予想の31万8,000人増とほぼ同じだった。就業者数は前月から44万2,000人増え、失業者数は前月から34万4,000人増加した。失業率は前月の3.5%から3.7%(市場予想は3.5%)に上昇した(添付資料図参照)。
失業者のうち、一時解雇の失業者は前月(79万1,000人)より9,000人減の78万2,000人、恒常的失業者は前月(116万6,000人)より18万8,000人増の135万4,000人だった。
労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から17万2,000人増加し、労働力人口が前月から78万6,000人増加した結果、前月から0.3ポイント上昇の62.4%だった(添付資料表1参照)。
平均時給は32.36ドル(前月:32.26ドル)で、前月比0.3%増(前月:0.5%増)、前年同月比5.2%増(前月:5.2%増)と前月比は鈍化したものの、前年同月比は横ばいだった。
8月の雇用者数の前月差31万5,000人増の内訳をみると、民間部門は30万8,000人増で、うち財部門が4万5,000人増、主な業種として製造業は2万2,000人増、建設業は1万6,000人増だった。サービス部門は26万3,000人増で、教育・医療サービス業6万8,000人増、対事業所サービス6万8,000人増、小売業4万4,000人増、娯楽接客業3万1,000人増と小幅ながらも多くの業種で引き続きプラスとなった。なお、政府部門も7,000人増とわずかに増加した(添付資料表2参照)。
8月の人種別失業率は、白人3.2%(前月3.1%)、アジア系2.8%(前月2.6%)、ヒスパニック・ラテン系4.5%(前月3.9%)、黒人6.4%(前月6.0%)と全ての人種で悪化した。
連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は8月26日のジャクソンホール会議で、物価抑制を優先して急激な金融引き締めを継続する考えを示唆したが(2022年8月29日記事参照)、比較的堅調な雇用増と前年同月比5%超の時給の伸びを示した今回の結果はこれを補強する材料となりそうだ。9月20、21日に予定されている次回の連邦公開市場委員会(FOMC)では前回(7月)、前々回(6月)と同様に、通常の3倍の0.75ポイントの政策金利引き上げが行われるとの見方が現時点では有力だが、引き上げ幅は、9月13日に公開される8月分のCPIの結果なども考慮して決められることになりそうだ。
(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。
(宮野慶太)
(米国)
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