再生可能エネルギー生産加速法案を閣議決定

(フランス)

パリ発

2022年09月30日

フランス政府は9月26日、再生可能エネルギー生産加速法案を閣議決定した。同法案はエマニュエル・マクロン大統領が9月22日に行われたフランス西部サンナゼール洋上風力発電所(2022年6月20日記事参照)の開所式で予告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていたもので、大統領は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の影響などでエネルギー危機が深刻化する中、再生可能エネルギーと原子炉建設を加速する考えを示していた。

フランスでは、太陽光発電プロジェクトの実現までに平均で5年、陸上風力発電は7年、洋上風力発電は10年と、欧州の近隣国に比べて2倍の期間を要する(9月26日閣議議事録外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。再生可能エネルギー生産加速法案はプロジェクト実現までの期間を半減することを目標に、今後4年間の緊急措置として、行政手続きの迅速化や、発電所建設に必要な土地の利用可能性の強化、洋上風力発電の開発加速、再生可能エネルギープロジェクトの魅力と資金調達の改善の4つを柱とする。

公共政策などの情報サイト「ビ ピュブリック(「Vie publique)」(9月26日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、行政手続きの迅速化については、再生可能エネルギープロジェクトに関わる監督当局の意見書や、プロジェクト設計者からの回答などを当局のサイトに公開し、早い段階から一般市民の参加を促す。サイト上の市民参加のみで公開調査実施が必要ない場合は、調査実施を義務付ける県の権限を取り消す。同措置が適用されるプロジェクトのリストを政令(デクレ)で公表する。特定のプロジェクトについて、重大な公益上の必要性を理由に、保護の対象となる(希少)種の保全義務を免除する措置を盛り込む。電力系統への接続工程を簡素化する。

太陽光と風力の発電を拡大するため、駐車場や荒れ地、高速道路の近くなど、既に人工化されて発電施設建設に適した土地の活用を容易にする。既存の屋外駐車場のうち敷地面積が2,500平方メートルを超える大型駐車場には、敷地面積の半分以上に太陽光パネルが付いた日よけの設置を義務付ける。また、農地での太陽光パネル導入を促進する措置を今後、修正案として提出する。

洋上風力発電の加速に向けては、設置場所などについて早い段階から市民の参加を可能にする法的な枠組みを整える。

また、再生可能エネルギープロジェクトの資金調達や魅力を高めるため、地域の住民や企業、設置先の自治体などが発電事業者と直接、固定価格で長期的に電力を購入できるシステムを導入する。

同法案は10月末から11月上旬にかけて上院で審議される。

(山崎あき)

(フランス)

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