ロドリゲス外相が就任わずか1カ月で辞任、政権内のあつれきが背景に

(ペルー)

リマ発

2022年09月13日

ペルーのミゲル・アンヘル・ロドリゲス・マッカイ外相は9月9日、同省ツイッターを通じて、自身の辞表をペドロ・カスティージョ大統領に提出したことを発表した。ロドリゲス外相は、就任当初の自身の役割について「これまでの過ちを正すことでペルーの外交政策を強化し、わが国の国際社会における進むべき道を強化する」ことにあると表現していた。しかし、8月にカスティージョ大統領に任命(2022年8月12日記事参照)されてから、わずか1カ月と4日で離職することになった。

今回の辞任の背景には、カスティージョ大統領や他の閣僚との意見の相違があるといわれている。そのうちの1つが、就任当初から反発を招いたエスカス協定(注1)への姿勢だ。2022年7月に議会の外務委員会が、同協定の批准を求めた立法決議第239号を棚上げしたことについて、ロドリゲス外相はこれを支持した。一方で、フェリックス・チェロ・メディーナ法務人権相は「外相の個人的な見解で、政権全体の見解ではない」とロドリゲス外相と対立していた。また、当時のマヌエル・ロドリゲス・クアドロス国連大使(協定批准派)は、批准反対派のロドリゲス外相就任に反発して辞任している。さらに、カスティージョ大統領とも国連海洋法条約(UNCLOS)の締結やサハラ・アラブ民主共和国の国家承認について意見の食い違いをみせていた(注2)。

ロドリゲス外相の辞任により、カスティージョ政権は4人目の外相を失ったことになる。10月上旬には米州機構(OAS)総会のリマでの開催が予定されており、早急な次期外相の任命が望まれている。

(注1)中南米とカリブ地域の環境問題に関連して、情報へのアクセスの確保、市民の参加促進、司法制度の強化、活動家の人権の保護などに関する協定。ペルーは署名しているが、批准していない。

(注2)ロドリゲス外相が公の場でUNCLOSの締結に賛成したのに対して、即日カスティージョ大統領が同主張を否定し、ペルーとして無制限の排他的経済水域の主権を主張。サハラ・アラブ民主共和国についても、ロドリゲス外相が就任直後に2022年内の国家承認を撤回したが、カスティージョ大統領はこれをさらに撤回している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 3f4c4a97a92ad739