主要19カ国の75%が気候変動を「重大な脅威」と回答、米シンクタンク調査

(米国、世界)

米州課

2022年09月01日

米国では、気候変動対策が11月の中間選挙の主要関心テーマの1つに挙げられている。ジョー・バイデン大統領が816日に署名したインフレ削減法には、気候変動対策の一環として、クリーンエネルギーや電気自動車(EV)の税額控除などに、今後10年間で3,690億ドルを歳出することが盛り込まれている(2022年8月17日記事参照)。そのような状況下で、米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは831日、同国を含む19カ国を対象に実施した気候変動に対する意識調査の結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

この結果によると、気候変動が「重大な脅威」と回答した割合が19カ国全体の中央値で75%に上った。オンライン上の誤情報の拡散(70%)、他国からのサイバー攻撃(67%)、世界経済の状況(61%)、感染症の流行(61%)よりも脅威に感じている人の割合が高かった。他方、気候変動は政治的な分裂を招くテーマの1つでもあり、左派のほうが右派よりも気候変動を大きな脅威として捉えているという。オーストラリアでは「重大な脅威」と回答した割合が左派で91%だったのに対し、右派では47%にすぎなかった。米国では左派が85%、右派が22%となり、さらに大きな差が生じている。また、19カ国中12カ国で、女性のほうが男性よりも気候変動を「重大な脅威」と感じており、男女間で差が最も大きかったスウェーデンでは、女性の78%に対し男性は62%だった。

2013年から2022年までの気候変動に対する意識調査の結果を比較すると(注)、多くの国で「重大な脅威」という意識の高まりが確認された。米国では45%から54%に9ポイント、日本では72%から82%に10ポイント上昇した。伸びが大きかった英国(48%から75%)とフランス(54%から81%)ではいずれも27ポイント上昇した。一方で、2013年時点で意識が高かった韓国では、85%から82%に3ポイント低下した。

また、自国が抱える問題の多くは他国との協力によって解決可能という回答は、19カ国全体で64%に上った。その割合が最も高かったのはスウェーデン(81%)で、日本とオランダ(いずれも76%)、イタリア(74%)、スペインが(72%)が続いた。米国は53%で、全体中央値よりも11ポイント低かった。

(注)米国のみ、2012年から2022年の比較。

(片岡一生)

(米国、世界)

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