2022年のGDP成長率予測、下半期に減速も通年では2.6%と上方修正

(フランス)

パリ発

2022年09月09日

フランス国立統計経済研究所(INSEE)は9月7日付の景気報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2022年第3四半期(7~9月)と第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率見通しをそれぞれ、前期比0.2%、0.0%と発表した。両四半期ともに0.3%としていた6月24日時点の見通し(2022年6月30日記事参照)を下方修正した。他方、2022年通年の成長率は2.6%と上方修正した(6月の見通しでは2.3%)。第2四半期(4~6月)の成長率が0.5%となり、6月時点の予測(0.2%)を上回ったためだ。

第3四半期は、サービス分野の牽引によりプラス成長を維持するとした。宿泊・外食の生産指数は、新型コロナウイルス関連規制の緩和を受けて、春から上昇傾向にある。しかし、第4四半期は、米国を中心とする金融引き締めや欧州エネルギー危機といった不確実性の増大により減速するとした。

また、2023年の成長率は、同年の各四半期の水準が2022年末並みと想定した場合、0.2%にとどまるとしている。

8月の消費者物価指数の上昇率(暫定推計値)は、前月比0.4%増、前年同月比5.8%増となった(7月の前年同月比は6.1%増)。原油価格の下落を受け、前年同月比は2021年7月以来初めて小幅に減少した。消費者物価指数の上昇率は依然として高いが、物価抑制政策(注1)が奏功し、ユーロ圏では最低水準にある。

インフレ率は年末まで高止まり

消費者物価指数(前年同月比、注2)は、9~10月に6%弱、12月には6.5%強まで上昇し、変動が大きい項目を除いたコアインフレ率も年末には5%を超えるとINSEEは予測。12月の消費者物価上昇率への品目別寄与度は、食品が1.9ポイント(8月は1.3ポイント)、工業製品が1.3ポイント(8月は0.8ポイント)と、上昇幅でエネルギーとサービスを上回る見込みだ。

(注1)ガスの規制料金凍結と電気規制料金上昇率の抑制(2021年10月26日記事参照)、と、燃料価格の割引制度(2022年8月25日記事参照)を指す。INSEEは、後者の強化が前者と相まって9~10月のエネルギー価格のインフレ抑制に貢献すると見込む。

(注2)INSEEは、国際的なエネルギーや一次産品の価格動向、為替、政策などの複数要因に左右されると添えた上で、ブレント原油1バレル当たりの価格が100ドル想定で予測。

(坂本紀代美、上田暁子)

(フランス)

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