米石油協会、インフレ削減法は長期的エネルギー需要に対応せずと批判
(米国)
ヒューストン発
2022年08月18日
米国石油協会 (API) のマイク・ソマーズ社長兼最高経営責任者(CEO) は8月16日、ジョー・バイデン大統領が「インフレ削減法案(H.R.5376)」に署名した(2022年8月17日記事参照)ことを受け、同法が米国の長期的なエネルギー需要に対応していないと批判する声明を発表した。
APIは、インフレ削減法は新たな石油・ガス開発リースや二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)への投資に向けて重要なステップを踏み出すものとしつつも、「米国の長期的なエネルギー需要への対応にはほど遠く、石油・ガスセクターで必要とされる投資をさらに抑制する」と主張している。また、同法による大幅な増税に対しては「単に間違った時期の間違った政策でしかない」とし、新たな法人税から、原油と石油製品への117億ドルの課税、新たな天然ガス税に至るまで、政策立案者が救済策を模索すべき時に、米国の世帯と企業に追加負担を強いるものと批判した。APIは、同法が安価で信頼できる米国のエネルギーを消費者に効果的に供給するために不可欠な許認可改革に対処していないことを強調している。加えて「わが国のエネルギー需要の約70%を満たす石油・ガスと関連インフラへの重要な投資のための包括的な計画がなければ、米国民はワシントン(政府)の短絡的な政策による重荷をまともに受け続けることになる」とも批判している。
新たな石油・ガス開発リースをめぐっては、APIは、米内務省が7月1日に発表した5カ年計画案に対して、新たな海洋石油・ガス開発リースが行われない可能性を残すとし、「米国の石油・ガス生産者は世界市場で大きな不利を強いられ、米国経済と国家安全保障は危機にさらされる」と内務省の姿勢を痛烈に批判している(2022年7月11日記事参照)。
また、米国のエネルギー供給をめぐっては、APIは7月14日、バイデン大統領に宛てたビデオメッセージを公開し、「大統領はエネルギー業界の要請を無視し、国内エネルギー生産者には一貫性のないメッセージを送り続けている」と批判した。一方で、大統領が米国内のエネルギー需給の重要性を再考することに期待を示していた(2022年7月21日記事参照)。
(沖本憲司)
(米国)
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