米内務省、海洋石油・ガス開発リース5カ年計画発表、石油協会は批判

(米国)

ヒューストン発

2022年07月11日

米国内務省は71日、連邦政府が管轄する領海外大陸棚(OCS)の海洋石油・ガス資源開発について、2023年から2028年までのリース販売プログラム案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。7月後半にプログラム案と環境影響評価(PEIS)を官報に掲載し、90日間のパブリックコメント期間を設けるとしている。

リース販売・プログラム案には、大西洋や太平洋沖の海域は含まれておらず、メキシコ湾沖の10件と、アラスカ・クック湾沖の1件が含まれる。内務省は、今回の11件は最終決定ではなく、パブリックコメントなどを踏まえて、最終的にはリースされない可能性を含め、リース対象となる候補の数が少なくなる可能性があるとしている。

内務省のデブ・ハーランド長官は「バイデン大統領と私は、クリーンエネルギー経済への移行を明確に表明してきた。米国民が海洋石油・ガス資源開発リースの将来について検討し、意見を提供する機会を提供する」と述べ、リース対象を既存の生産設備があるメキシコ湾とアラスカ沖クック湾に大幅に制限したとしている。

これに対し、米国石油協会は71日に声明を発表し、同協会の政策・経済・規制問題担当シニアバイスプレジデントのフランク・マッキアローラ氏は「米国民が記録的なエネルギー価格高騰に直面し、世界がエネルギー分野で米国のリーダーシップを求める時期に、内務省の発表は、新たな海洋石油・ガス開発リースが行われないという可能性を残すものだ」と前置きした上で、「このような政策の失敗により、米国は1980年代初頭にこのリースのプロセスが始まって以来初めて、(リース件数が011件にとどまることで)プログラム内容に大幅な不整合が生じるという前例のない状況に置かれることなる。その結果、米国の石油・ガス生産者は世界市場で大きな不利を強いられ、米国経済と国家安全保障は危機にさらされる」として、内務省の姿勢を痛烈に批判している。

ジョー・バイデン大統領は国内の石油・ガス企業に対して、増産を要請する一方で、米国環境保庁(EPA)が石油・ガス産地の大気汚染物質の排出規制を求めており、連邦政府内で方針にズレが生じている。627日には、EPAの動きに対して米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)がバイデン大統領に見直しを求める書簡を出した(2022年7月5日記事参照)。政策が右往左往する事態に、海洋ガス油田開発の今後の動向に注目が集まる。

(沖本憲司、宮野慶太)

(米国)

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