中銀、2022年経済見通しを上方修正

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年08月10日

ロシア中央銀行は81日、2022年の経済見通しを上方修正する最新の金融政策報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。実質GDP成長率は依然としてマイナスだが、前回発表時(5月)から4ポイント引き上げ、マイナス6.0~マイナス4.0%とした(添付資料表参照)。

中銀は上方修正の背景として、前回見通しよりも好調だった第2四半期(46月)のマクロ経済の動きを挙げた。例えば、a.外貨の売却規制などに支えられて700億ドルの巨額の経常黒字が生じたこと(2022年4月12日記事参照)、b.消費や生産が予想ほど悪化しなかったこと、c.急速なインフレ率の低下とそれに伴う金融政策の緩和による資金貸し出しの増加だ。

四半期別の実質GDP成長率は2022年第4四半期(1012月)を底に回復基調に向かい、2023年第3四半期(79月)には前年同期比でプラスに回復するとの見方だ。

その一方で、報告書からは、先行きに対する不透明さも垣間見ることができる。例えば、経済成長の大きな部分を占める消費では、2022年の家計消費支出は前年比マイナス6.5%からマイナス4.5%、2023年も最大3%のマイナスを見込んでいる。内需のもう1つの柱の投資についても、製造関連の民間投資の落ち込みが今後経済全体に悪影響を及ぼすことを懸念している。2022年は公共投資が民間投資の落ち込みをカバーするものの、2023年以降は公共投資の減速が予測されている。

なお、IMF726日に発表した世界経済見通しで、2022年の実質GDP成長率を4月時点から2.5ポイント引き上げてマイナス6.0%としている(2022年8月3日記事参照)。

(欧州ロシアCIS課)

(ロシア)

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