タイ中銀、政策金利を0.75%に引き上げ

(タイ)

バンコク発

2022年08月22日

タイ中央銀行(BOT)は810日、金融政策委員会を開催し、政策金利を現行の0.50%から0.75%に0.25ポイント引き上げることを決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。新型コロナウイルスが流行した際に実施した、超緩和的な金融政策の必要性は低下したと評価し、委員7人のうち6人が政策金利を0.25ポイント引き上げることに賛成した。1人の委員は、後に政策金利を大きく引き上げることになる場合を想定し、その際の急激な金利上昇リスクを減らすため、今回0.5ポイントの引き上げを支持した。

BOTの発表によると、タイ経済は回復傾向が強まっている。今後もその傾向が続き、2022年末までに、新型コロナウイルス感染が流行する前の水準に戻る見通しだという。その理由として、渡航規制の緩和で、外国人観光客の入国者数が予想以上に増加していることを挙げた。また、労働市場や家計所得の改善に伴い、個人消費も回復が続くとみており、世界的な景気減速リスクは高まっているものの、タイ経済への影響は限定的とした。他方、今後の成長見通しに対するリスク、特に生活コストの上昇が個人消費に与える影響を注視する必要があるとした。

この点、インフレ率については、前回見通しから引き続き、「2022年を通じて高水準で推移する」と予測している。実際、直近57月のタイの消費者物価指数(CPI)上昇率は、3カ月連続で14年ぶりの高水準となっている(2022年8月12日記事参照)。そのため、コスト上昇が、想定より早く、そして大きく、価格変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア・インフレ率に転嫁される可能性がある。同委員会は、インフレの動向を今後も注意深く監視するとした。

(藤田豊)

(タイ)

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