BMW、スタートアップと工場内自動走行のプロジェクトを実施

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年08月03日

ドイツ自動車大手のBMWグループは719日、BMWがスタートアップと協業するためのプログラム「BMWスタートアップ・ガレージ」を通じて発掘した企業と、自動運転のパイロットプロジェクトを行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回協業するスタートアップは、韓国のソウル・ロボティックス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますSeoul Robotics)とスイスのエンボテック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますEmbotech)。工場や物流センター内で、自動車を無人で自走させ新車物流の効率性を高めるプロジェクトで協業する。具体的には、ミュンヘンから北東約100キロに位置するBMWの主力工場の1つ、ディンゴルフィング工場で、新型「7シリーズ」と電動モデル「BMW i7」でのパイロットプロジェクトを、20227月から数カ月間かけて行う。

同プロジェクトでの自動走行は、自動車内のセンサーを利用するのではなく、自動車の走行路にセンサーを配置、自動車の外から、自動車の場所や障害物などを認識、走行指示を行う(ソウル・ロボティックによるイメージ映像外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ソウル・ロボティックスのLiDAR(注)を活用した認識ソフトウエアと、自動車の操舵(そうだ)、停止、加速などをつかさどるエンボテックの自動走行用ソフトウエアを使用する。2017年に創業した3次元データ認識のスタートアップであるソウル・ロボティックスと、2013年にチューリッヒ工科大学からスピンオフしたエンボテックは、「BMWスタートアップ・ガレージ」に参加することで、BMWとのパイロットプロジェクトが実現した。

BMWスタートアップ・ガレージ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は、BMW2015年に開始した、スタートアップを対象とするプログラム。BMW本社があるミュンヘンに加え、米国(マウンテンビュー)、中国(上海)、韓国(ソウル)、日本(東京)、イスラエル(テルアビブ)の拠点を活用し、年間1,000社以上のスタートアップとやり取りを行う。採用されたスタートアップは、BMWの各分野の専門家による支援や、商品化に必要なエンジニアリング支援などを受けられる。BMWによると、既にスタートアップと150を超えるプロジェクトを実施済み。ジェトロが713日にミュンヘンで開催した「日独イノベーション連携セミナー」にBMWグループ・ジャパンが登壇し、「BMW スタートアップ・ガレージ」の取り組みを紹介している(2022722日記事参照)。

BMWは別途、スタートアップに直接投資する部門「BMW i Ventures」も有しており、EV屋内充電プラットフォームを提供するスタートアップ(2022120日記事参照)や工場のデジタル化に取り組むスタートアップ(2022512日記事参照)にも投資している。

(注)「Light Detection and Ranging(光による検知と測距)」の略。近赤外光や可視光など使い対象物に光を照射し、その反射光を光センサーで捉え対象物との距離や形状を測定する技術。

(高塚一)

(ドイツ)

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