BMW、EV屋内充電プラットフォーム提供企業への投資発表

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年01月20日

ドイツの自動車大手BMWグループの投資部門BMW i Venturesは1月13日、電気自動車(EV)用の屋内充電プラットフォームを提供するドイツ企業のヘイチャージ(HeyCharge)へ470万ドル投資したと発表した(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ヘイチャージは2020年創業のミュンヘン発スタートアップ企業。通常、EVの充電には専用アプリやRFIDカード(注1)に加え、インターネット接続が必要になるが、同社が提供する充電器とその管理プラットフォームSecureChargeは、屋内や地下の駐車場などインターネット環境が整っていない場所でもブルートゥースで充電アプリ操作が可能。そのため、設置や通信などに係るコストも大幅に削減できることから、費用対効果も高い。

BMW i Venturesは「インターネット接続なしにEV充電を可能にした初めての企業」として、ヘイチャージに注目した。ヘイチャージ創業者のクリス・カルデ氏は「EV充電の可能性をただ広げるだけでなく、コストパフォーマンスも良く、住まいや職場など場所を問わず簡単に充電できるようになる」と自社製品について語っている。EV普及が加速し、住宅やオフィス、ホテルなどの屋内充電設備の設置需要が高まる中、今後も同社の活躍が期待される。

ドイツ経済紙「ハンデルスブラット」(1月14日付)によると、ヘイチャージは2022年中に国内外に数千台の充電設備を新規に導入したい意向で、今回の投資を受けてさらなるグローバル展開を目指す。同社は今後、欧米向けのハードウエア生産拡大に向けて、エンジニア採用や事業運営体制の強化も発表している(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

BMW i Venturesは米国シリコンバレーを主要拠点に、ミュンヘンとサンフランシスコで活動している。2011年設立以降、シリーズAとBステージ(注2)のスタートアップ企業を対象に、これまで50社以上への投資プロジェクトに関与。今回のヘイチャージへの投資ラウンドには、BMW i Venturesのほか、ノルウェーの水力発電大手のベンチャーキャピタル(VC)のスタットクラフトベンチャーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツ最大とされる学生ファンド組織ファーストモメンタムベンチャーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ベルリン発のVCビレオベンチャーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなども参画した。

(注1)Radio Frequency Identificationの略。電波を用いてデータ認識を行う技術を指す。

(注2)ベンチャー企業に投資する段階を示す。ベンチャー企業のステージに応じて、シードラウンド(創業スタート期)、シリーズA(創業期)、シリーズB(成長期)、シリーズC~H(成熟期)と上がっていく。

(大河原楓)

(ドイツ)

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