5~7月期の失業率は4.3%、3期連続で改善

(香港)

香港発

2022年08月24日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は817日、202257月期の失業率(季節調整済み、速報値)について、同年46月期から0.4ポイント改善の4.3%と発表した(添付資料図参照)。新型コロナウイルスの感染拡大第5波(注)の影響を大きく受けた同年24月期には5.4%まで上昇したが、その後3期連続で改善をみせた。

業種別にみると、ほぼ全ての主要業種で改善した。なかでも、小売・宿泊・飲食業などの個人消費や観光に関連するセクターは、20224月~6月期から0.9ポイント低下し6.5%となった。うち、特に飲食業で1.6ポイント低下の7.0%と改善が顕著だった。

政府労働・福祉局の孫玉菡局長は改善の要因について、「域内経済活動の回復と2022年の経済対策(2022年2月18日記事参照)が寄与した」と振り返った。また、孫局長は、今後の労働市場の見通しについて、「域内における新型コロナウイルスの感染が抑制されていることを前提としたうえで、労働市場は、第2回電子消費券の配布(2022年3月1日記事参照)も下支えとなり、今後数カ月の間はさらなる改善が期待できる。ただし、どれほど改善するかに関しては、金融の引締め局面における経済回復の速度によるだろう」とコメントした。

香港中文大学アジア太平洋ビジネス研究所の李兆波名誉研究員は、「(労働市場の今後の)改善は、コロナ政策の緩和によるところが大きい。域外との往来正常化が早期に実施された場合には、失業率は本年の第4四半期までに4.0%を下回る水準まで回復が期待できるだろう」との見通しを示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」818日)。

(注)香港では一般的に、20201月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降および11月下旬以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」、202112月末以降のオミクロン変異株感染拡大を「第5波」と呼んでいる。

松浦広子

(香港)

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