米大手小売り2社が四半期決算を発表、食品や必需品などの販売好調

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月18日

米国小売り大手のウォルマートは816日、57月期決算を発表し、総利益は前年同期比20.4%増の514,900万ドル、総売上高は前年同期比8.4%増の1,529億ドルと、いずれも大幅に上昇した。同社は8月上旬に、食品や燃料の高騰によって消費者に買い控える動きが広がっていたことから、2023年度1月期通期の見通しは1株当たり利益を1113%減としていたが(2022年8月3日記事参照)、今回の発表では911%減に上方修正した。同社の最高財務責任者(CFO)を務めるジョン・レイニー氏は、新学期商戦が堅調な滑り出しに加えて、記録的な高インフレにより、低価格商品を求めて中高所得層の顧客が増えていることが増加に寄与したと述べた。同57月期には食品部門の市場シェアが拡大し、その約4分の3は世帯年収が10万ドル以上の顧客によるものとした。消費者にはより安価な商品に切り替える動きがみられ、同社のプライベートブランドの第2四半期の売り上げは前四半期よりも2倍と高い伸びを示した(CNBC816日)。

一方で、小売り大手のターゲットが817日に発表した202257月期決算は、純利益が前年同期比89.9%減の18,300万ドルと大幅な減少となった。同社のブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は「在庫処分は短期的な収益を大きく圧迫したものの、顧客や従業員、当社のビジネスを支える上で、長期的には正しい決断だったと確信している」と述べた。同氏は、今後の季節商品などの人気カテゴリーとともに、食品や生活必需品などの高頻度カテゴリーに焦点を充てるとした。一方、需要の低い裁量的なカテゴリーについては、15億ドル分以上の発注をキャンセルしたと説明した(CNBC817日)。20231月期通期の見通しについては、1桁台前半から半ばの売上高の伸びを見込んでおり、下半期の営業利益率は6%前後の見込みだとした。

ターゲットの決算はウォルマートとは対照的な内容となった。背景には、ウォルマートでは食料品などを多く扱っているのに対し、ターゲットは衣料品や家電製品などを多く取りそろえており、高インフレの中で食品などの必需品の購入を優先する消費者が裁量的な支出を抑えている傾向がある。2021年に、ウォルマートの売り上げの約半分が食品となっているのに対し、ターゲットはわずか20%だった。加えて、ターゲットは、販売が振るわないキッチン用品や自転車などの余剰在庫を積極的に値引きしたことが同社の収益に大きく響いた(ブルームバーグ817日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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