インドネシア政府、EVや再エネへの投資呼び掛け

(インドネシア)

アジア大洋州課

2022年08月02日

インドネシアのルフット・パンジャイタン海洋・投資担当調整相は727日、ジェトロが開催したビジネスフォーラムに登壇し、同国が2030年には1人当たりGDP1万ドルに近づくとする見通しを示した。同相は「インドネシア経済は変わりつつある」と述べ、政府による川下産業の育成によって、地方で付加価値の高い産業が成長していることを強調した。事例として、スラウェシ島など東インドネシアで中国企業などが進めるニッケルの大規模な精錬を取り上げ、従来は原材料を供給するのみだったが、今は国内で精錬した鉄鋼を輸出しており、輸出額は2021年に210億ドルに達したと説明した。さらに、次なる付加価値産業として、電気自動車(EV)用のバッテリーの生産から利用・廃棄までの供給網を構築する取り組み(2022年3月25日付地域・分析レポート参照)を挙げ、既に中国のCATLや韓国のLGがインドネシアでのバッテリー生産を予定しているとした。

また、ルフット海洋・投資担当調整相は、日本企業の新たなビジネスチャンスとして、EVのほか、インドネシア政府が目標とする2060年の炭素中立に関連し、地熱発電などの再生可能エネルギー開発、さらにバリ島に特区開発を進めるメディカルツーリズム(ホテルや医療関連施設の開発)を挙げ、投資を呼びかけた。

B20議長として、経済界で炭素取引や次世代企業の情報プラットフォーム立ち上げ

今回のビジネスフォーラムは、2022年のB20G20ビジネス・サミット)の議長を務めるインドネシア商工会議所(KADIN)が共催した。議長としてB20を取りまとめるシンタ・カムダニKADIN副会頭は、同フォーラムにおいて、2022年のB20が、グリーン成長への移行(グリーン・トランジション)、インクルーシブ(誰も取り残さない)成長、平等・公平なヘルスケアの3分野に注力としていると述べた。その上で、インドネシアが主導する6つのレガシープロジェクトのうち、炭素取引に関する知識やビジネス事例の情報共有プラットフォーム「カーボンセンターオブエクセレンス」(Carbon Center of Excellence)と、次世代の中規模企業がグローバルサプライチェーンに加わるためのデジタル化やマッチングを支援するためのプラットフォーム「B20ウィキ」(B20 Wiki)の取り組みを紹介し、日本企業の積極的な参加を呼びかけた。

(山城武伸)

(インドネシア)

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