米連邦取引委、2022~2026年度の戦略計画を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年08月30日

米国連邦取引委員会(FTC)は826日、2022~2026会計年度の戦略計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。戦略計画では向こう5年間のFTCの優先課題が示されている。

戦略計画では、(1)市場における不公正または不正な行為・慣行からの公衆の保護、(2)市場における不公正な競争手法からの公衆の保護と公正な競争の促進、(3FTCの有効性と業績の向上、の3つの戦略目標を定め、各戦略目標の達成に向けた活動方針も示した。

戦略目標(1)では、活動方針の1つとして、不公正または不正な行為・慣行の特定、調査、それら行為に対する法執行を挙げた。不公正または不正な行為・慣行を禁じるFTC5条などの違反に対し、主に訴訟を提起することで民事執行措置を取ると記した。消費者保護に関わる法執行については、消費者のプライバシー保護や全国レベルの広告の監視に言及した。戦略目標(2)では、反競争的な企業合併やビジネス慣行への対応などを活動方針に据えた。反競争的な企業合併やビジネス慣行は、価格上昇や賃金低下、質や選択肢、イノベーションの低減を招くと指摘。反トラスト法の執行により、開放的で競争のある市場を確保できるとした。また、違法な企業合併に対しては訴訟などを通じて、損害の阻止や是正を行うとした。

FTCのリナ・カーン委員長ら3人の委員は声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「戦略計画は違法行為への対抗措置や是正に加え、抑止のための戦略・政策の策定を特に重視している」と説明した。戦略計画で触れた消費者のプライバシー保護をめぐって、FTCは、企業による個人情報の収集や取り扱いに関する規則の制定に動き出した(2022年8月16日記事参照)。また、FTC829日、データ仲介業者のコチャバ(Kochava、本社:アイダホ州)による機微な消費者データの販売停止と削除を求めて訴訟を提起外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。位置情報や健康情報を含む、機微な個人情報の保護に優先的に取り組む姿勢をあらためて示した(2022年7月13日記事参照)。

(甲斐野裕之)

(米国)

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