北京市、上半期の実質GRP成長率は0.7%と微増

(中国)

北京発

2022年08月01日

中国・北京市統計局の718日の発表によると、同市の2022年上半期(16月)の実質域内総生産(GRP)の成長率は前年同期比0.7%の微増にとどまった(添付資料表参照)。統計局は、第2四半期(46月)に国内外環境が予想以上に複雑に変化したこと、2021年上半期に新型コロナウイルスワクチンの生産拡大を受けて工業生産が好調で、比較対象となる基数が高くなったことなどを要因として挙げた。2022年第2四半期のGRP成長率は、第1四半期(13月)の4.8%からマイナス2.9%へと減少に転じた。

上半期の一定規模以上の企業による工業生産増加額(付加価値ベース)は、前年同期比15.1%減となった。前述の要因を受けて、医薬製造業が47.8%減となったことや、自動車製造の減速(18.6%減)が響いた。

サービス業は、前年同期比で3.3%増となった。うち、情報処理・提供、ソフト・情報技術サービス業(9.4%増)と金融業(6.6%増)は、サービス業全体の伸び率を3.5ポイント押し上げた。一方、ホテル・飲食業、交通運輸倉庫・郵政業、リース・ビジネスサービス業、文化・スポーツ・娯楽業などは、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きく、いずれも減速した。

固定資産投資は、前年同期比5.5%増となり、第1四半期の伸び幅より4.8ポイント鈍化した。しかし、集積回路、医薬健康などハイテク製造業(78.1%増)、情報処理・提供、ソフト・情報技術サービス業などハイテクサービス業(61.7%増)では堅調だった。

社会消費品小売総額は、前年同期比7.2%減となった。インターネットによる小売額は4.2%増と、社会消費品小売総額の38%を占めた。食糧・食品(6.2%増)、日用品(4.5%増)、宝飾品(4.6%増)、たばこ・酒類・飲料(10.9%増)はプラス成長を維持したが、アパレル・靴・帽子、自動車などは2桁減となった。

住民1人当たり可処分所得は、前年同期比3.3%増の39,391元(約787,820円、1元=約20円)となったものの、住民1人当り消費支出は2.5%減の21,035元だった。6月の都市部における調査失業率は、5.1%と5月より低下した。なお、上半期平均では4.7%となった。

下半期の経済動向について、北京市統計局は「6月の経済は回復の兆しを見せているが、まだ回復に向けた基礎はしっかり固まっていない。新型コロナウイルスの感染再拡大といった不確定要素もあり、企業は生産や経営の面で多くの困難に直面している。各政策措置(注)を着実に実施し、経済回復の基礎を強化し、経済を合理的範囲内に保てるよう取り組む」と述べた。

(注)北京市が上半期に打ち出した新型コロナ支援策としては、6分野45項目からなる「北京市における新型コロナウイルスの感染防止・抑制と経済の安定成長を両立させるための実施プラン」などが挙げられる(2022年6月13日記事参照)。

(張敏)

(中国)

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