トランプ前大統領の弁護団、「マール・ア・ラーゴ文書」捜査差し止め申し立て、米メディア報道

(米国)

米州課

2022年08月23日

ドナルド・トランプ前米国大統領の不正疑惑に対する調査のため、連邦捜査局(FBI)がトランプ氏の別荘を家宅捜索した(2022年8月17日記事参照)ことについて、同氏の弁護団が捜査の差し止めを申し立てたと米国の複数のメディアが報じた。

FBI88日にフロリダ州パームビーチにあるトランプ前大統領の邸宅「マール・ア・ラーゴ」を捜索した。前大統領は2021年の退任時に機密文書を持ち出した疑いが指摘されており、米メディアによると、FBIは防衛関連機密情報の無許可の持ち出しを禁止するスパイ活動法に違反する可能性に関連する文書を捜索していたと報じている(「ビジネス・インサイダー」816日)。この捜索によってFBIが文書などを押収したことについて、トランプ前大統領の弁護団はフロリダ州の別の連邦判事に対し、捜査令状の範囲外のものがないか、行政特権や弁護士・依頼人特権で保護されているものがないかなどを中立的立場から確認する独立裁定者(independent arbiter)を任命するよう求める申し立てを提出した(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版822日)。

弁護団は今回の家宅捜索を「政治的動機によるもの」と主張し、また、トランプ前大統領を「2024年の共和党大統領予備選挙に立候補を決めた場には明確な最有力候補」として、捜査が与える影響の大きさを指摘した(「ビジネス・インサイダー」816日)。

米司法省のアンソニー・コーリー報道官は「司法省は今回の申し立てを承知している」「法廷で回答を提出する」としている。(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版822日)。

なお、米国の世論調査によると、トランプ前大統領の不正疑惑に対する調査について、「継続すべき」(57%)が「継続すべきでない」(40%)を上回り、過半が支持していることが示されている。(2022年8月23日記事参照

(葛西泰介)

(米国)

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