VWとメルセデス、蓄電池用材料調達などでカナダと覚書締結

(ドイツ、カナダ)

ミュンヘン発

2022年08月30日

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)とメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは823日、カナダ政府と電気自動車(EV)用蓄電池の生産・サプライチェーンや鉱物調達などで協力する旨の覚書を締結した(2022年8月24日記事参照)。

VW本覚書を通じてカナダと、全世界および地域ごとのVW蓄電池サプライチェーン構築の検討を進める外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。具体的には、VWグループの蓄電池関連事業を統括する法人パワー・コ(PowerCo)(2022年7月22日記事参照)が中心となり、(1)蓄電池バリューチェーン構築、(2)原材料調達、(3)北米での正極材生産、の検討を進めていく。

VWは、欧州に6つの蓄電池工場を2030年までに稼働させると発表しており(2021年6月16日記事参照)、セルの年間生産能力は240ギガワット時になる見込み。同社は、北米でも蓄電池セル工場を建設する可能性を検討中だ。蓄電池の原材料調達でも、パワー・コはカナダに独自の拠点を設立し、同社とカナダの採鉱地との間で承認するESG(環境・社会・ガバナンス)基準に沿った調達を進める計画。具体的には、リチウム、ニッケル、コバルトといったクリティカルマテリアル(重要な原材料、2020年9月4日記事参照)の透明性の高い調達を進める。

メルセデス・ベンツは覚書を通じて、持続可能性の高い原材料の調達サプライチェーン構築を進め、正極材生産、材料調達、蓄電池セル生産での協力などを検討する外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。具体的には、カナダとドイツに拠点を置くスタートアップのロック・テック・リチウムとの協力を検討する。ロック・テック・リチウムは、ドイツ東部ブランデンブルク州で2024年から高純度水酸化リチウムの製造工場を操業する予定(2021年10月18日記事参照)。同社は、カナダのオンタリオ州ジョージア湖周辺に、リチウム鉱石の採鉱地も持つ。メルセデス・ベンツとロック・テック・リチウムの協力は2026年からとなる見込みで、メルセデス・ベンツはロック・テック・リチウムから年間最大1万トンの水酸化リチウムを調達する可能性があるという。また、水酸化リチウムは、「責任ある鉱業保証のためのイニシアチブ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますIRMA)」より認証された採鉱地から調達する。

メルセデス・ベンツは、2039年までのカーボンニュートラルを目標に掲げ、市場条件が許す地域において2030年までの完全バッテリー式電気自動車(BEV)化も目指す(2021年8月3日記事参照)。同社は、人権や環境に配慮したビジネスも目指しており、20224月には「ESGカンファレンス」を初開催した(2022年4月19日記事参照)。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、カナダ)

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