米商務省、輸出管理違反のロシア・ベラルーシ入国の航空機リスト更新、外国産航空機も含む

(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年08月04日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は82日、米国の輸出管理規則(EAR)に違反してロシア、ベラルーシに入国した航空機のリストを更新したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

BIS318日以降、ロシアとベラルーシに対して強化したEARに基づいて、事前の許可なく両国に入った航空機をリスト化し公表している。これらの航空機に対して、BISの許可なくサービスを提供した場合、所在地にかかわらず、EAR違反のリスクを負い、禁錮や罰金などの法執行の対象になり得るとしている。BISはその後、随時リストを更新している。今回の更新で特筆すべき点は、最終価格のうち25%を超える割合で米国製品を含むかたちで米国外で生産された航空機25機が対象に含まれたことだ。EARではデミニミス規定として、第三国で完成された製品について、その最終価格のうち米国製品の割合が25%以下に収まる場合はEARの適用対象外としている(注1)。今回、そのデミニミスの基準値を超えて第三国で生産され、ロシアとベラルーシにBISの事前許可なく入国した航空機も制裁対象に指定したことになる。今回の追加を受けて、リストには現在183機が掲載されている。

BISは、この航空機リストは網羅的なものではなく、個人・事業体がEARの管轄に属する航空機やその他の製品に関して、EAR違反(または違反となり得る)状況を認知している場合は、リストには含まれていなくても、規制が適用され得るとしている。

対ロ制裁に関しては、国務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます財務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます82日、ロシア政府関係者に対する米入国ビザ規制や、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に近い人物や防衛・ハイテク分野の企業を金融制裁対象の「特別指定国民(SDN)」に指定するなどの制裁を発表している。SDNには、在米資産の凍結や米国人(注2)との資金・物品・サービスの取引禁止の制裁が科される。また、SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる(注3)。SDNに今回指定された対象の詳細は、財務省ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

なお、20222月以降に米国が発動した対ロシア・ベラルーシ関連の制裁については、添付資料を参照。

(注1)ただし、品目や輸出先の国よっては、より厳格な基準値が適用される場合がある。米国の輸出管理規則については、ジェトロの調査レポート「厳格化する米国の輸出管理法令(2019年9月)」「続・厳格化する米国の輸出管理法令 留意点と対策(2021年8月)」を参照。

(注2)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。

(注3)ウクライナ情勢に関する財務省の制裁の全容は、同省の「ロシア有害対外活動制裁」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます「ウクライナ/ロシア関連制裁」のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。制裁対象に指定された個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますCountry欄のRussiaを選択し、Searchをクリックすることで確認可能。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)

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